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血の滴る彩花の足首を掴んだ。
「お前のせいで…お前のせいじゃないか…」
「え…?」
彩花が怯えた目をして、俺を見た。
「お前さえ妊娠しなきゃ、こんなことにならなかったんだ…」
「隆彦…?」
「こんな惨めな生活、しなくてよかったんだ!!」
ぐいっと足首を引っ張って、引き寄せた。
彩花の身体が俺の上に降ってくるのを躱して、階段から突き落とした。
手にはべっとりと彩花の血がついた。
「え…?」
その血の中に、丸いものが居た。
「な、なんだよこれ…気持ち悪い…」
払おうとするけど、離れない。
そのうち、その丸いものはどんどん手のひらで大きくなる。
「なんだよっ…おいっ…」
階段の手すりにぶつけても、それは取れなかった。
どんどん、どんどん大きくなる。
「うわああ…なんだよぉぉ…」
それは、赤ん坊だった。
”ねえ…隆彦…なんで騙したの?”
「あ…あ…やめ、ろ…」
翌朝、隆彦の遺体が見つかった。
アパートの階段の下で、胎児のように身体を丸めて死んでいた。
【END】
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