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雲のリリー
地上から10kmくらいの空に小さな雲がポツンと浮かんでいる。
その小さな雲の名前はリリー。
リリーは、もう、かれこれ5年は同じ場所にいて動かない。
朝起きた後もご飯を食べる時も
寝る時も、もちろん動かない。
雲は天気の神様が創る。
雨を降らしたり雷を鳴らすと、
雲の一部が溶けてなくなってしまうから
雲の寿命は長くて10年だ。
天気の神様が
「雨を降らせー!」というと、
雨を降らし
「雷をならせー!」というと、
雷をならす。
これがリリーたち雲の仕事だ。
リリーは仕事をしている時も絶対動かないけど、仕事をするのが好きだったし、
雨の降らし方の絶妙な加減や雷を大きく鳴らす方法を周りの雲たちを見ながら日々勉強した。
毎日一生懸命やっていると、天気の神様が、
たまに褒めにきてくれるのが嬉しかった。
周りの雲たちは風に乗って流れて、遊んだり、
風の力で合わさって、ひとつになったりして、
みんな楽しそうだったけど、
リリーは、ここにいたいと思っていた。
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