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そして亜朗は亜朗で、きっとさっきのお部屋探訪の時に俺と想ちゃん釉ちゃんの間であった出来事を知っているんだと思う。
だってスゲー優しく微笑んで俺と釉ちゃんを見てるんだもん。
もしかしたら、亜朗の方から案内を釉ちゃんに頼んだりしたのかも知れない。
もーーーーー!!
亜朗落として上げる天才~!!
………………で。まぁ亜朗はアッサリ仕事に戻って行っちゃった訳なんですけども。
そんな亜朗の背中を見送った俺と釉ちゃんと想ちゃん。それからお部屋探訪の担当だった葉ちゃん、朱那くん、頼くん、純介くん。
ちなみに、葉ちゃんと頼くんがコンビで、純介くんは朋くんとコンビだったんだけど、朋くんは途中で別の仕事が入り抜けてしまったそう。
「このあとの紫朗達の予定は? 」
「晩御飯まで一応自由時間」
「『一応』って? 」
「ご飯の時また一旦多目的室に集まるし、迷子にならないように行ける場所も限られてるんだよね~」
「多目的室でテレビ見たり雑誌読んだりするか、図書室で普通の本読むか、娯楽室で卓球とかダーツとかやるかの3択」
「選択肢があるなら自由とは呼びたくないなぁ……」
「そーなのさ! それも生徒会の誰かが付き添うし? 」
「なるほど。そーゆー意味で『一応』ね? 」
「そ」
「そーゆーことー♪」
「じゃあとりあえず、晩御飯の集合までなら俺が紫朗を色々案内してても大丈夫な訳ね♪」
「うん、それまで宜しく」
「釉、紫朗の事お願いね♪」
「オッケ~♪」
三つ子の会話。
『三つ子』という存在自体を初めて見る琉架達が、じっと見たら失礼だと思いつつも……って感じで三つ子を見てる。
お昼ご飯の時に釉ちゃんが俺にキャラメルを持って来てくれた時とか、俺と同じ班だった人は三つ子の部屋で釉ちゃんの事は見てるはずだけど、やっぱ同じ顔が3つ並んでるのは見ちゃうよね。
で、三つ子はやっぱりその視線には気付いていたみたいで、会話が一段落した三つ子は3人揃って俺らの方を見る。
「同じ顔3つあるの何か不思議でしょ? 」
釉ちゃんがニコニコ笑ってそう言う。
「ちなみに想が長男で釉が次男♪僕が三男なんだよ♪」
葉ちゃんもニコニコ。
「『三つ子』って珍しいから記念に見といた方がいいよ? 」
ニコニコ……ではないけど想ちゃんが『見すぎたかな』ってちょっと慌ててる琉架達をフォローするような事を言うと、釉ちゃんと葉ちゃんも笑いながら「見とけ見とけ~♪」って。
そして、三つ子のその対応に琉架達が安心したようにクスクス笑う。
…………うん。こーゆーとこも好きなんだよなー♪
何て言うか、三つ子ならではの連携ってゆーかテンポってゆーか?
「ぁ、そういえば想先輩」
三つ子の対応にホッとした琉架が想ちゃんに声をかける。
想ちゃんに声をかけたのに、釉ちゃんも葉ちゃんも────────つまり3人揃って同じ動きで「ん? 」って琉架を見る。
…………可愛いな……。
仔猫とかこーゆー反応するよね?
何か癒し系の動画とかでさ、仔猫が5、6匹くらい同じ動きしてる動画とかあるじゃん?
ソレみたい♪
琉架も俺と同じ事を思ったのか、ちょっとだけ笑いそうになった口元を片手でサッと隠すと、「さっきうやむやになっちゃいましたけど……」と、亜朗がついさっき出て行ったドアにチラリと視線を送る。
その仕草と『うやむや』で想ちゃんも俺も琉架の聞きたい事が分かった。
『さっき』俺のせいで──────ぃやむしろ想ちゃんのせいで、参加者の皆の亜朗へのイメージが違う理由を想ちゃんが『目』じゃないか、って言った理由を聞けてない事を思い出したんでしょ?
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