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その言葉達に想ちゃんは1つ頷いて口を開く。
「やっぱり。多分ソレだね。だから、亜朗とちょっとでも会話した子は亜朗の『カッコよさ』を感じたんだと思うよ? 反対に亜朗と会話してない子はまぁ、亜朗はあの見た目だし単純に『可愛い』ってだけ」
「亜朗は礼儀正しいからこそ、先輩とか年上には『お兄ちゃんぽさ』なんて出さないから先輩達は『可愛い』一択なんスよ」
「ぁ~……そーゆー事かぁ」
想ちゃんと釉ちゃんの言葉に納得する純介くん。
「てかさ、『琥珀』はどこで出てくんの? 」
「今の話し、納得は納得だけど『琥珀』関係なくね? 」
「……マコシュー先輩、想像してみてくださいよ。亜朗じゃなくて俺のこの常に冷めたような目で『お兄ちゃんぽさ』出したところで紫朗やこの子達がそこに気付いて『カッコいい』ってなると思います? 」
ぇ……。
そ、想ちゃん……?
「ぇ、ぉ、俺は───────」
「「ならねーわ」」
「でしょ? 俺の『お兄ちゃんぽさ』はどっちかっていうと『おっかない』とかそっちの方ですし、何なら俺は目ぇ逸らされてもおかしくない」
「そ、そん───────」
「「あー、チョー分かるー。でも想ちゃんが実は面倒見良いのとか知ってるよー? 」」
「それはそれなりの付き合いがあるからでしょう? 初対面じゃ無理ありますよ」
………………『初対面』での、って話し……?
「つまりですね? 亜朗の目が『幸福を招く』と言われる神秘的な輝きの『琥珀色』だからこそ、初対面のこの子達は多分知らず知らずその『琥珀』に引き寄せられて、そこで亜朗と喋った子達は直接亜朗の『お兄ちゃんぽさ』を浴びたんだと思うんです」
「「なるほどねー」」
…………初対面って設定の話しだとしても……何かヤだなぁ……。
「まぁ確かにちょっと目ぇ合わせづらい人っているよな。やっぱ目って第一印象の最たるモノだと思うし」
「その人の事知っちゃえば結構気にならなくなってくけど、最初はなー……あるよなー……」
……頼くんと朱那くんの言ってる事も分かる。朱那くんなんてやたらと実感こもってるし。
分かるけど……。
「ぁれ? てか待って? 三つ子は同い年じゃん。何で亜朗の『お兄ちゃんぽさ』浴びてんの? 」
「純介先輩。そこはホラ、俺ら1月生まれだし、今でこそ亜朗よりデカいけど幼稚園の頃なんてフツーにチビだった訳ですよ♪」
「ぁ、あ~♪なるほど♪その頃はバシバシに亜朗は三つ子に『お兄ちゃんぽさ』出してたって事ね? 」
「そーっす♪まぁ今でも亜朗は俺らの事『可愛い』って顔するんで、そん時は『お兄ちゃんぽさ』浴びてるって言えるかもですけどね♪」
「あぁ、してるしてる♪普通に『ウチの三つ子』とか言うしな♪」
「あはは♪でしょー? 」
この釉ちゃんと純介くんの会話に、琉架達が「『ウチの三つ子』って亜朗先輩が言うんですか? 」とか「ソレだと何か『お兄ちゃん』てゆーより『お母さん』ですね♪」とか言って、マコシューくんが「ちな、シュナヨリは『皐月のオカン』だぞ♪」とか言っちゃうからそっちの方に話しが盛り上がっていってしまった。
…………俺、初対面でも想ちゃんの目……『おっかない』とか……そんな事思わなかった……。
ただ、すごく心強くて……頼もしくて……。
……想ちゃんが見ててくれる事に安心して眠ったのを覚えてる……。
それを想ちゃんに伝えるタイミングを逃してしまった事が残念で仕方ない。
厳密に言えば、『初対面』ではないんだけど。
俺が想ちゃんを『そーちゃん』ってきちんと認識した日。
その日が想ちゃんとの『初対面』って言えると思ってる……─────────
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