*** イアンおじさん ***

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―――――――――――――――――― イアン 「────────以上が明日の予定です。急遽変更になったものもあります。しっかりと変更箇所を頭に入れておくように」 使用人一同 「「「「「「「「「はい! 」」」」」」」」」 イアン 「では最後にですが、最近寒さが増してきましたので、くれぐれも全員体調管理には気を付けること。そして、アーサー様とセオドア様から皆さんへ日頃の疲れが少しでも取れるように、とラントランドル公爵家のローズガーデンからお譲りいただいた薔薇で作ったアロマオイルを預かっています。通いの者はこのあと、住み込みの者は中途半端になっている仕事を片付けたらわたくしの執務室まで取りに来るように」 使用人一同 「「「「「「「「「「「っ、はいっ!! 」」」」」」」」」」」 コンコン……―――――――――――――― イアン 「どうぞ」 ローザ 「失礼いたします─────────あら♪ジョージとローマンもいたのね♪」 ジョージ 「ローザお疲れ♪」 ローマン 「俺らも丁度さっき全部の仕事が終わってさ♪」 イアン 「ローザ、遅くまでお疲れさまでした。キミの分のアロマオイルと、アーサー様からのカードです。いつもありがとう♪」 ローザ 「こちらこそありがとうございます♪……いい香り……♪」 ジョージ 「さすがラントランドル公爵家のローズガーデンの薔薇だよな♪」 ローマン 「ラントランドル公爵閣下と言えば♪アーサー様とセオドア様が先日、17歳ということを閣下に忘れられていたようだと切なそうにされてましたね♪」 ローザ 「ぁ、それ知ってる♪私、セオドア様に「俺って老けてる? 」って聞かれちゃったわよ♪モチロン「そんなことはございません」ってしっかり否定しておいたわ♪」 イアン 「……まぁ、苦労しましたからね、あのお二人も……。よく折れずにここまで立派になられたと思いますよ……♪」 ジョージ 「イアン様は子供の頃のアーサー様とセオドア様をご存知なんでしたっけ♪」 イアン 「えぇ♪11年前にとある方の(めい)でここの家令となりましたので♪」 ローマン 「子供の頃のアーサー様とセオドア様ってどんな感じだったんですか? 」 ローザ 「私も知りたいです! 」 イアン 「そうですねぇ……昔はわたくしのことを『イアンおじさん』と呼んでましたね♪」 ローザ 「まぁ! そうなんですか!? 可愛らしい♪」 イアン 「呼び方は可愛らしいですが、わたくしを呼び付ける用事は可愛らしくなかったですよ? 」 ジョージ 「どういうことですか? 」 イアン 「やれ経済学を教えろ、やれ行儀作法を教えろ、やれ日本語を教えろ、と子供らしからぬ要望ばかりで……」 ローマン 「……必死に、ガルガンド家の復興の為に頑張って来られたんですね……」 イアン 「そうですね……先代が「子供なんだから」と遊んでいてもいいと言っても全く聞く耳持たずで……。それでも子供ですから、時には折れそうになったこともありましたが、そんな時は決まって『カルタ』で遊ぶんです……♪」 ローザ 「『カルタ』……! 私知ってます♪」 ローマン 「俺も♪日本のカードゲームですよね♪」 ジョージ 「今でもたまに遊んでるヤツですか? 」 イアン 「えぇ♪キミ達も日本語を覚えたら一緒に遊べますよ♪アレは2人で遊ぶより、もう少し人数がいた方が楽しいですから♪」 ジョージ・ローマン・ローザ 「「勉強しますっ!! 」」 ローザ 「でも、その『カルタ』にはカードゲームとして以外に何か効果があるんですか? 気晴らしになるなら、他のカードゲームでも良いのでは? 」 イアン 「『カルタ』が、というより『カルタの思い出』と言った方が正しいですね……」 ジョージ 「ということは、日本の思い出、ということでしょうか? 」 イアン 「そうです。…………当時はカルタで遊びながらも、お二人は「自分達は情けない」と、「こんなところで折れている場合ではない」と、時たま泣くのです……」 ジョージ・ローマン・ローザ 「「「っ…………」」」
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