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イアン
「……「自分達が泣くことしかできなかった時、あの子は「一緒に頑張ろう」と言っていた」……と……」
ローマン
「……もしかしてそれが……『アロ様』……ですか……? 」
イアン
「そうです……。しかし泣いて当然の場面です。いくら賢いとはいえ、当時は6歳の子供です。泣いて当たり前なんです……。でも……それが情けないと思ってしまうほど、亜朗様の存在が忘れられなかったのでしょう……。実際、亜朗様がいらっしゃらなければガルガンド家は間違いなく潰れていたでしょうから」
ジョージ
「……先代もよくそうおっしゃられてましたよね……」
イアン
「はい。……そうして、『カルタ』で遊んだあとは、お二人ともより一層頑張っておいででした。そういった弛まぬ努力があり、ガルガンド家は見事復興を果たしました。そして使用人も再び多く雇うことが出来るようになった時、さすがに『イアンおじさん』は卒業となったのです♪」
ローザ
「……私……アロ様にお会いしてみたいです♪」
ジョージ
「慈朗様と睦子様のお孫様なんですよね? 」
イアン
「そうです♪」
ローマン
「慈朗様も睦子様もとても聡明な方ですから、アロ様もきっととても聡明でいらっしゃるのでしょうね♪」
イアン
「それは勿論♪それにとてもお可愛らしい方ですよ♪」
ローザ
「まぁ♪もしこちらにいらした際にはこちらの素敵なドレスをご用意しなくてはいけませんね♪」
イアン
「ふふ♪残念ながら亜朗様は男性ですよ♪」
ローザ
「えっ!? そうなんですか!? 」
ローマン
「ローザはガルガンド家に4ヶ月前に来たんだもんな」
ジョージ
「アーサー様もセオドア様もつい半年ほど前まではアロ様を女性だと思ってらっしゃったんだ♪」
ローマン
「だからそれまでは俺達も皆、アロ様は女性だと思ってたんだよな♪」
イアン
「わたくしは最初から男性だと知っていたので、まさかお二人が女性と思い込んでるとは思ってもなく……。まぁ、確かにあの容姿でしたら女性だと思うのも無理はないのですが……」
ローザ
「そ、そんなにお可愛らしい方なのですね! でもどうして半年前に知ることになったのですか? 」
イアン
「亜朗様は日本の皐月学園という高校に通ってらっしゃるんですが、日本にいるガルガンドの手の者から『亜朗様が男子校に入学した』と連絡が来て初めてそこで……ということです」
ローザ
「そうだったのですね……」
イアン
「男性だと知っていたわたくしも先代も、事実を知っているからこそお二人が女性だと思っていることに思い至らなかった。そのことも思い込みと言えます。人の『思い込み』というものの凄さを知った一件でした……」
ジョージ・ローマン・ローザ
「「「確かにそうですね……」」」
イアン
「……さぁ皆さん♪もう部屋に戻りなさい♪明日も朝から忙しいですよ♪」
ジョージ・ローマン・ローザ
「「「はい! イアン様、おやすみなさいませ♪」」」
イアン
「はい、おやすみなさい♪暖かくして寝るんですよ♪」
ジョージ・ローマン・ローザ
「「「はい♪」」」
イアン
「…………さて、亜朗様はわたくしのことを覚えておいででしょうかね…………どう思います? 慈朗様」
慈朗
『……さぁな♪……いつか本人に聞くといい♪』
イアン
「……『イアンおじさん』、と……呼ぶ声で……、あの時抱き上げた亜朗様の重みと暖かさ……、そんな些細なことでここにも救われた人間がいるなどと……亜朗様は知る由もないのでしょうね……」
慈朗
『……ガルガンド家のことだってそうさ……♪』
イアン
「……ふふ♪慈朗様、お電話暫く放置してしまい申し訳ありませんでした♪」
慈朗
『いや♪電話を繋いだままで、と言ったのは私だ♪亜朗の嫁ぎ先の候補だからな、相変わらず使用人達が素直でいい子達だというのが分かって良かったよ♪』
イアン
「わたくしが亜朗様がいつ嫁いでいらしても良いようにしっかりと面接で厳選し、指導もしておりますからね! 」
慈朗
『はは♪頼もしいな♪』
イアン
「お任せください♪」
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