*** 『S S G』 side 謙信 ***

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*** 『S S G』 side 謙信 ***

------------- うん待ってるよ♪ じゃあ確認だけど、日にちは今週の12月2日の日曜日。 場所は皐月学園中等部の大会議室。 受け付けは9時20分開始で、スタディーグループの開始は10時から。 持ち物は筆記用具だけだけど、苦手科目勉強する時に使いたい参考書とかあれば持ってきても大丈夫だよ♪ あとは遅刻しないように、前の日は夜更かし禁止だからね?笑 じゃあ謙信くんに会えるの楽しみに待ってるね♪ ------------- 何回目だよ、ってくらい見た亜朗さんから貰ったメッセージをまた読み返す。 「……ン~……参考書……。あんま使わねぇンだけど……持ってかないのも印象悪ぃかな……? 」 「だと……持ってくならやっぱ国語か……? 苦手ってほどじゃねぇけど……」 「……まぁ……国語が1番後回しにしがちだし、苦手って言えるかも知んねぇよな……うんうん……」 ブツブツ言いながら、使ってない割には使用感のある参考書を床に並べてみる。 この参考書を使用感出るまで使ってたのは兄ちゃん。 俺の持ってる参考書は大体兄ちゃんのお下がり。ジーちゃんが買ってくれたのもあるけど、そっちはまだまだキレーだ。 「おーい謙信! 忍来たぞ~!? 準備できたんか~!? 」 「ぁ、うん! できたーーー! 」 返事をしながら、兄ちゃんのお下がりの国語の参考書を鞄の中に突っ込んで急いで階段を下りる。 口ウルセー母さんがいたら、「階段は静かに下りてって何回言わせるの! 」って言われるとこだけど、近所のスーパーの『朝イチお買い得商品』だかを買いにもう出かけてっから今はいない。 階段を下りると、ジーちゃんと忍くんが笑いながら喋って俺の事を待ってて、ドタドタ階段を下りてった俺に気付いた忍くんがニカッと笑う。 「はよ、謙信♪」 「忍くんおはよ! 今日はありがと♪」 「気にすんなって♪」 忍くんに挨拶しながら靴を履いてる俺の横でジーちゃんが忍くんに何か手渡そうとする。 「忍、これはお礼じゃよ♪帰り美味いモノでも食べて帰っておいで? 」 「はぁ!? いいってそんなん! お礼欲しくてやる訳じゃねンだからさァ! 」 「まぁまぁ、儂からのほんの気持ちじゃから♪」 「ムリムリムリ!! そんなん貰ったら信玄にブン殴られっから!! 」 「信玄には内緒にしとくから大丈夫じゃよ♪」 「ちょ、マジでいらねぇって!! 」 忍くんのライダースのポケットにぐいぐいポチ袋を捩じ込むジイちゃん。 多分あのポチ袋の中には諭吉が入ってると思う。 …………ジーちゃん、穏やかそーに見せといて意外とチョー頑固なとこあっからなァ……。 性格が頑固だとしても、元警察官だとしても。 体はフツーにお爺ちゃん。ご老体ってヤツ。 だから忍くんも口では強く言ってるけど、振り払ったりはしない。忍くんが振り払ったりなんかしたら、ジーちゃん吹っ飛ぶからな。 「もぉぉぉぉぉ……っ!! 」 あ。忍くん諦めた。 ジーちゃんの勝ち。 「じゃあジイちゃん、何か食べたいモンねぇ? ソレ買って帰って来るから一緒に食お♪」 すぐ切り替えた忍くんがジーちゃんにそう言うと、ジーちゃんは「忍のそういう優しいところ、儂は大好きじゃよ♪」と優しい笑顔で笑う。 俺ジーちゃんのこの笑顔めっちゃ好き♪ ジーちゃんをこの笑顔にしてくれた忍くんの優しいとこ、俺も好き♪ 「ジイちゃんの優しさには負けるって♪それよりもう行かなきゃなんねぇし、食いたいの何でもいーから何かねぇの? 」 「そうじゃなぁ……、『ケウク』とかいう洋菓子屋のアップルパイが美味しいと、隣の山口さんから聞いたんじゃが、それかの♪」 「『ca-u-ke』のアップルパイね♪リョーカイ♪アップルパイは俺も好きだわ♪」 そう言ってニッと笑う忍くん。
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