1006人が本棚に入れています
本棚に追加
……てか多分。
忍くんがアップルパイ好きなの知ってっからジーちゃんはそやって言ったんだと思うけど、ソレをあえてツッコむほど俺もアホじゃねぇのよ。うん。
けど、実は忍くん自身も実はその事に気付いてて、あーゆー事言った可能性もあるんだよなー。
忍くんも空気読めるっつーかなんつーか。
「おし! じゃあ謙信、行くか!! 」
「うス♪じゃあジーちゃん行ってくんね♪」
「頑張って勉強してくるんじゃよ♪」
「うん! 」
「あと制服は苦しくても着崩しちゃいかんよ? 」
「分かってるって♪今日は『イイコ』でいなきゃだかんな♪」
「うむ♪忍、謙信の事頼むよ♪」
「おう♪無事に皐月まで届けるから♪」
ニカッと俺と忍くんが笑うと、ジーちゃんもニッコリと笑う。
俺は今日、前に亜朗さんが言ってた皐月での勉強会に参加させて貰う。
今日の勉強会は、亜朗さん達高等部の生徒会がこれからボランティアで邑咲市で勉強会とかをやっていく手始めとして、って感じのモノらしい。
高等部に持ち上がる予定の中等部の奴らと、俺みたいに皐月を外部受験する予定の奴らが参加する。
全部で何人が参加するのは知らねぇけど、別にそんなのはどーでもいい。
亜朗さんがいる、ってのが俺には重要。
佑さん経由で亜朗さんから連絡が来て、亜朗さんに声かけて貰った時、その勉強会に亜朗さんがいるのか聞いたら『勿論いるよ♪』って。
ぶっちゃけ俺みたいなヤンキーがいたら、周りの奴らがどーゆー風に思うかなんて分かり切ってる。
どーせ、どいつもこいつも『え? あのヤンキーが皐月受験すんの? 』みたいな視線とか。なんだったらヒソヒソ陰口みたいのも覚悟してる。
でもソレはもう慣れてるっちゃ慣れてる。
でも、いい気分でないのはそうなんだけど、亜朗さんがいて、亜朗さんに教えて貰える。ソレは俺にとって『こんなにモチベが上がる事なんて他にねぇよな! 』ってくらいに俺のモチベは上がる。
俺に「応援してる♪」って言ってくれた亜朗さんに、実際俺が頑張ってる姿を見て貰えるのは嬉しいし。うん。それでいい。
「謙信、いってらっしゃい♪」
「いってきまーーーーす!! 」
───────────と、言って家を出て、忍くんのバイクの2ケツして皐月の中等部まで送って貰った。
中等部は高等部と違って、そこまで山の上って感じじゃない場所なんだよな。
高等部まで行く長い坂の途中で分岐路があって、そこを登ればすぐに中等部。
中等部は全寮制じゃなくて希望する生徒は入れますよ、みたいな感じ。
北海道の優秀な人材を、ってことで皐月は設立されたから中等部は道内在住の人しか受験できない。
だからどーしても皐月に中等部から通いたい人だと、北海道に引っ越して来る人とかも結構いるらしい。スゲーよな。
だからこそ中等部の寮に入る人は全員ってならないみたいだな。家があるから。
全校生徒の半分くらいだって中等部のホームページには書いてあった。
で、まぁその中等部に到着したんだけど、亜朗さんからのメッセの返事で伝えた到着時間よりちょっと遅くなったからダッシュで校舎に向かうと、入口に案内らしき人が立ってるのが見えた。
「ぁ♪キミが亜朗の言ってた謙信くんだね♪」
「ぁ、はい。遅くなってスミマセン」
「時間内だし大丈夫♪でもキミで最後だから一緒に行こうか♪」
「はい! あざっス! 」
やたらオーラあるな、この人。
パッと見は優しそうだけど怒らせたらヤバい人だわ、絶対。
「俺は皐月高等部生徒会の喜多 純介♪宜しくね♪」
「ぁ、俺は………………天津 謙信っス。ヨロシクおなしゃす」
「ふは♪今の間どーしたの? 」
「ぃや、ちょっと緊張してて……」
「そっか♪」
ふー……あぶねぇあぶねぇ。
最初のコメントを投稿しよう!