*** 『S S G』 side 謙信 ***

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危うくまたあの挨拶かますとこだった……。 前に紫朗にも言われたし、昨日兄ちゃんにも言われた。 さっきは忍くんと「挨拶は? 」「普通に! 」って掛け合いしたばっかなのに。 玄関からそんなに離れてない所に大会議室はあるみたいで、向かう先に見えて来た大きなドアの中から人の声が聞こえてきた。 結構ザワザワしてっけど何人くらいいんのかな? 「既に賑やかでしょ? 今日の『皐月スタディグループ』、略して『S.S.G』の参加者は、中等部の生徒が30人と外部受験予定の子が21人の計51人の参加者がいるんだよ♪」 俺の頭の中が見えたのかってくらいのドンピシャな回答。 てか何人で教えるのか分からんけど、思ってたより人数多いな。 「そうなんスね」 「ちなみに外部受験予定の子達は高等部の誰かの弟とか、従弟とかの親戚だって子とか、同中だった子、それから謙信くんみたいに知り合いって子がいるから安心して♪」 ………………。 「……『安心』……スか? 何に? スか? 」 「中等部の子達は皆既に友達だから」 「ぅん? 」 「……ふはっ♪やっぱそーゆー感じか♪」 「……分かんねっス」 まいった。 この人が何を言いたいのか全然分からん。 中等部の奴らが全員友達で、外部受験予定の奴らが高等部のセンパイの関係者ってことだろ? ……あぁ。そーゆーことか。 「分かりました。中等部の奴らが全員友達だからちょっと萎縮するかもってことっスね? 」 「お♪」 「そんで、俺以外の外部受験予定の奴らも友達と一緒に来てる訳じゃないから自分はぼっちかも、って心配しなくていいってコト。当たってます? 」 「大当たり♪」 「大丈夫っス。元からそーゆーのは───────」 「『全然気にしない』? 」 「っス」 亜朗さんから俺のこと何となく聞いてたんだろーな。 ………………亜朗さんが俺の話ししてたのなんか嬉し────────── 「紫朗が『アイツそーゆーの気にするよーな奴じゃないですよ、絶対』って言ってた通り♪」 紫朗かよ!!! …………ぃや……、べ、別に紫朗が嫌とかじゃねぇけどさ……。 「てか、センパイ紫朗と仲良いんスか? 」 「まぁ、亜朗の弟だし皐月祭にも遊びに来てたし、それなりに? 」 「そーなんスね」 このセンパイ、亜朗さんと結構仲良いっぽいな。 「さ、到着♪入ろ♪」 「ウス」 で、センパイがドアを開けた先の部屋は、『大会議室』っつーだけあってスゲー広かった。 アレみてぇ。こないだ行ったイトコの兄ちゃんの結婚式の披露宴会場ぐらい広い。 モチロンそのイトコの兄ちゃんも元青葉連合の゙メンバー。7代目の゙副総長。 めっちゃカッケー人なんだけど、大吉さんからスゲー額のご祝儀届いたってガクブルしてた。額は聞いてねぇけど、まぁ大吉さんのことだから? だからガクブルすんのも仕方ねぇよな。 ………………。 ……………………ぁ〜……やっぱ視線感じる。 それにあんだけザワついてたクセに、俺が大会議室に入った途端ちょっと静かになった。 理由は分かる。コレも自分の見た目がこんなだから、仕方ねぇって思ってっけど何となく亜朗さんもいるこの場でってのは……正直ちょっとやめて欲し──────────── 「謙信くんっ!! 」 っ!! 「謙信くん待ってた! 言ってた時間過ぎたから心配してたんだよ〜! 」 ……亜朗さんだ……。 亜朗さんだ♪ 俺に向かって駆け寄って来ながら「心配してた」って言った割には俺を見てホッとしたみたいで、顔は全然笑顔。 ……俺もホッとした。 亜朗さんの顔見たらマジでホッとした。 「うん、ゴメンなさい。なんかマジで忍くん安全運転すぎて♪」 「ううん! 安全運転が1番! 謙信くんが無事に着くのが1番! 」 「うん♪ありがとう、ございます♪」 やっぱいいな♪亜朗さんと喋んの♪ 勝手に自分の顔も笑顔ンなっちゃうし♪ ホント、スゲー人♪
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