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「……アイツも皐月受験すんの……? 」
「ガチのヤンキーじゃん……こわっ」
「関わらんどこ……」
「だな。つかそもそも受かんのかよって」
……俺、耳いんだよなー……。
「それな。今日来たのも記念とかじゃね? 」
「あね〜。皐月に校舎に入ってみたかったとか? 」
「ある。それある」
ねーよカス。
「謙信くん、何か参考書持ってきた? 」
「ぁ、国語。持ってきた」
「国語苦手? 」
「ううん。苦手ってわけじゃねぇけど、好きじゃねーからついつい後回しにしちゃう。……です」
「ふふ♪俺には敬語使わなくていいよ♪」
「いいの? 」
「いいよ♪お互い大吉くんの関係者ってことで♪でも他の先輩には敬語ね? 」
「分かった♪」
ホント亜朗さんて優しい♪
「……あの先輩、マジで可愛くね? 」
「男ってのが勿体なさすぎ」
「ぃや、アレならフツーにイケんだろ」
「……まぁ、なくはない? 」
「でも同じもん付いてんだよ? 」
「ホントに付いてんのかな? 」
「ぇ、確かめる? 」
「ぶは♪どーやってだよ♪」
「力技? 勝てるっしょ、アレは♪」
「ぅわ、お前サイテー♪」
…………へー。なんだ。既に虫わいてんだ?
駆除すべきだよなぁ? 虫はさ?
ぶっちゃけ眼力っつーの? 目付きの悪さには定評がある。
メンチ切んので負けたことねーし。
睨んだつもりねぇのに謝られたことあるし。
亜朗さんがさっき俺を案内してくれたセンパイと会話してる隙に、俺の斜め後ろから聞こてえ来た声の方を振り返りギッ、と虫を睨む。
「「「「「「っ……!? 」」」」」」
ほら。一気に蒼い顔で目ぇ逸らした。
ちょっと睨まれたぐらいで目ぇ逸らすんならクズな会話なんて端からしてんじゃねーよ、害虫どもが。
……………………あれ? そーいえば……。
「亜朗さん? 」
「ぅん? どうしたの? 」
「ここに亜朗さんの幼馴染みいねぇの? 」
実は俺、何気に紫朗とそこそこ連絡を取り合ってる。何かそーゆー仲になってしまった。
そんで、紫朗に皐月での勉強会に行くっつったら、「亜朗の幼馴染み達、かなり嫉妬深いから『敵』認定されないよーに気を付けなねー♪」って、自分のあの嫉妬深さと独占欲と狡猾さを棚に上げまくりのクソ驚くメッセージを貰った。
だから今の威嚇は、俺じゃなくその幼馴染み達が普段からやってることなんじゃねーの? って思っ───────────
ぇ……?
「ぇ……、あ、亜朗さん……? 」
俺の目の前にいる亜朗さんは、何でか分かんねぇけど変な顔してた。
ゃ、変っつーかビミョーっつーか……。
…………泣きそう……?
わざとかどうかは分かんないけど、ほんの少し俺に見られないよーにするみたいに亜朗さんの顔が下を向いた。
「ぁ、あろ────────」
「今日はね? 」
まるで俺を喋らせないよーに言葉を被せてきた。
「生徒会からは俺と、謙信くんを案内した2年生の純介先輩と。それからあっちにいる生徒会長の2年生の西園寺先輩」
紹介する為なんだろーけど、フイって顔を背けるみたいにして俺に背を向けた亜朗さん。
なん……、どーした……?
「それからなんと! 」
急に明るい声を出したかと思ったら、亜朗さんは笑顔で俺を振り返る。
「卒業が近いからこそ自分達も学園の為に、ってイギリスからいらしてる3年生のレジー先輩とイーサン先輩、それからオリヴァー先輩がお手伝いを申し出てくださったんだよ♪」
笑顔の亜朗さんが手のひらで指す方には、見るからに外人て分かる見た目の3人。
何故か分かんねぇけど、ずっとこっち見てたんかな? ってくらい、その中の1人とすぐに目が合った。
…………この人……相当だ……。
立ってるだけなのに、全くどこにも隙がねぇ……。
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