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……なのに。
何でこんな態度取られるのか分から…………ゃ、会ったばっかだし、オリバーセンパイにとって俺が信用できっかどーか分かんねーってことか。
そーだよな。俺だって会って秒で相手を信用するなんてできねぇ。
兄ちゃんの紹介とかなら信用できなくもねぇけど。
………………よし。
「……俺、オリバーセンパイが何かの資料、隠すの見ましたよ……」
「何のこと? 」
「……あの参考書か何かの下に……」
「……ちょっと何のこと言ってるのか分からないな……大丈夫……? 」
マジかよ! シラ切んのかよっ!!
てか『見た』つってんのにシラ切るとかスゲェ度胸だな!!
……切り札のつもりだったのに……。
でも確かに俺が『見た』って主張したところで証拠とかあるわけじゃねぇし……。
どーする……どーしたら俺は害虫じゃねぇって分かって貰える……?
「………………」
「本当に大丈夫か? 」
「…………ハァ……勘弁してください」
「…………」
「俺、マジで亜朗さんには感謝してて。こんなヤンキーな見た目───────ぁ、ヤンキーって分かります? 」
「ぁ。うん」
「そんで俺ヤンキーだから皐月受験するって言ったら大体頭おかしくなったとか思われたり、バカ言ってるって言われたり。とにかくそんな反応されんスよ。母親ですらそんな反応だったのに、亜朗さんだけが「頑張って」って言ってくれて、マジでそれ嬉しすぎて」
「ぁ。はい」
「アンタみたいにいかにもイイとこの坊ちゃんみたいな見た目の人には分かんねぇだろーけど、俺にとって亜朗さんのその一言は───────ぁ、ぃや、もっといっぱい嬉しい言葉くれたんスけど、感謝しかなくて。だからマジであの人に俺が何かするとかありえねぇっスから」
…………情けねぇけど。
駆け引きみたいなことは苦手だから、こうして俺の気持ちを正直に言うことしかできねンだわ……。
オリバーセンパイの目をキチンと見ながら。
「だから、アンタが亜朗さんのこと守ろうとしてんの分かったし、俺も同じだか───────」
「うん分かった」
「ぇ……? 」
何かスゲーあっさり返事したなと思ったら、亜朗さんが資料を持ってこっちに戻って来てるのが見えた。
あぁ、亜朗さん戻ってきたから話し終わらせよーとしたんか……。
じゃあ俺の気持ちが伝わったわけじゃ───────
「ヤンキーは義理堅いもんな。分かってた。ゴメンな、9代目青葉連合親衛隊長の天津 謙信クン♪」
…………………………は?
「悪い。何か勘違してるみたいだけど、俺別に謙信くんのこと敵だとか全然思ってないぞ? でも何か必死に話し始めたから少し面白がったのは事実。ホントにゴメン♪」
………………はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
な、な、なんだコイツっ!!
つまり俺のことからかったってことかよ!!
絶対ぇ殴る!! あとで一発殴る!!
「俺がやったこと気付いたのスゲェわ。俺が桜岡のこと守ろうとしてるのも事実だし。お前スゲーな♪」
ニカッと笑ったオリバーセンパイの顔は、テキトー言ってる感じはしねぇし……ちゃんと俺のこと認めてくれてんのか……。
「……アンタ一体何者なんスか……」
「皐月学園3年のオリヴァー・バイロン」
「そーじゃねぇよ」
「イギリス出身の生粋のイギリス人」
「クソ日本語上手ぇな」
「ははは♪」
はいコイツ変な奴ー。
悪い奴じゃなさそーだけど変な奴ー。
………………でも……只者じゃねぇことは確かだな……。
「オリヴァー先輩、資料ありました! 参考書の下になってて」
「ありがとう桜岡♪」
「いえいえ♪オリヴァー先輩と謙信くんもう仲良くなったんですね♪」
なってません。
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