*** 『S S G』 side 謙信 ***

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─────────って、満面の笑顔の゙亜朗さんに言えるはずねぇし。 「ぁ、はい。なんかオリバーセンパ──────」 「『オリバー』じゃなくて『オリヴァー』な」 「そんな違わな───────」 「『オリヴァー』」 「………………なんかオリヴァーセンパイ変な───────ゃ、面白い人で」 「今『変な人』って言いそうになったか? 」 「まさかー♪言うわけねぇじゃねっスかー♪」 「ふーん」 「あはは♪ホントにすっかり仲良くなってる♪」 …………うーん。亜朗さんが嬉しそうだからまぁいっか。 「亜朗くん、オリヴァー先輩、そろそろ始めますよ♪」 亜朗さんが生徒会長って言ってた人がこっちを見てる。 「はい! 」 「あぁ分かった」 俺の今日の目的、しっかり勉強すること。 よし、やるか!! ―――――――――――――――― 基本的に今日の勉強会は気軽な感じ。 スタートは参加者全員でセンパイ達から皐月の入試の傾向と対策を教えて貰った。 当然、既に各自で調べてた奴もいるけど、やっぱ実際にその入試をクリアしてるセンパイ達から直接聞く内容はスゲー参考になった。 それからは自分がアドバイスを貰いたい教科ごとに分かれて勉強。 行ったことねぇから分かんねぇけど、図書室とかで勉強するってこんな感じなのかも。それぞれ自分の持って来たモノとかセンパイ達が用意してくれた入試対策の要点をまとめたプリントをひたすら勉強する。 そもそも、中等部の奴らもだけどやっぱ皐月受験するだけあって皆頭がいい。自分が勉強してる内容で躓くことはあんまない。 ただ、その分足りてないとこがある事に気付きづらいらしい。 頭がいいって自覚があるだけに、自分は出来てるって思いがち。ってセンパイ達が言ってた。 だからセンパイ達が俺らの勉強の様子を見ながら、皐月合格の為にはここをもう少し掘り下げて調べた方がいい、とかアドバイスしてくれる。 フツーにめっちゃ助かる。 俺は塾とかも行ってねーから、ただひたすら暗記したり基礎から応用までの問題を解いて、って感じだから。 誰かに見て貰うとこんなにも効率よく勉強できんのか! ってマジで嬉しくなった。 「謙信くん、ここ注意だよ」 「ぇ? どこ? 」 「この『この時の主人公の感情を正しく読み取りなさい』って設問、要注意。『正しく』が、重要ね」 「でもコレ、嫉妬と羨望と後悔、でしょ? 」 「うん。そうなんだけどね? このラストの方の゙主人公の行動はその3つ感情の内、どの感情によって取った行動かってところを『正しく』読み解かなきゃ正解を貰えない」 「3つ書いたらダメってこと? 」 「ぇーとね、例えばだけど、行動に迷いが出る時って何でだと思う? 」 「…………ぁ、2つ以上の感情の間で揺れてるってこと? 」 「そうだよね♪じゃあ逆に行動に迷いがない時は? 」 「そっか。メインの感情は1つ」 「うん、そうだよね。だから迷いがあるのかないのかで、この時の感情がどれなのか絞って答えなきゃいけないんだよ。例え物語全体が3つの感情で進行してたとしても、この問いは『正しく』って書いてあるから」 「うんうん、そっか」 「もう1回全体を読んで、主人公の行動に迷いがあるのかないのか、考えてみるといいよ♪」 「なるほど! 亜朗さんありがと! 」 「いいえ♪」 うんうん。なるほどなるほど。 ぃやーマジで助かる。 1人で勉強してたらこの問題多分不正解になってたわ。亜朗さんマジ感謝。 つーか、亜朗さんの担当が国語だって知らないで国語勉強するつもりで来たけど、俺の選択大正解じゃん♪
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