*** 『S S G』 side 謙信 ***

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でもあとで違う教科も勉強すっか。 次やるなら社会かな。歴史とかは好きだけど公民が好きじゃねんだよ、小難しくて。 ───────────って、予定を立てたとこで、生徒会長の人が「もうそろそろお昼休みにしますよー」って言ったから速攻筆記用具を片付ける俺。腹減ってたんだわ。 この勉強会は15時までの予定。 昼は皐月が弁当を用意してくれるっつーんだから、さすが『天下の皐月』だよな。 何種類かある中から好きなの貰っていいらしいんだけど、まぁ最後でいーや。 「腹減ってねぇの? 」 最後にしようって思ったから弁当の゙とこで他の奴らが楽しそうに弁当を選んでるのを後ろから見てたら、いつの間にか隣にオリヴァーセンパイがいた。 …………気配なかったんだけど……。 ……まぁ、多分気にしちゃダメなヤツ。 「ぃや、ペコペコっスよ」 「……さっさと選ばねーと『ペコペコ』に見合うヤツ他の奴らに取られるぞ? 」 「いいンすよ、最後で。俺が行くとアイツらビビるから」 「……」 「それに残り物には福があるって言うし──────って、今のことわざ知ってます? 」 「そのくらい知ってる。お前ちょいちょい俺のことバカにしてくるのな」 「してませんて。どこまで日本語知ってるのか分からんから確認してるだけデショー? 」 「……それもそうか」 オリヴァーセンパイ、俺のこと気にして来てくれたんか。 からかわれたって分かった時は殴りたかったけど、やっぱ悪い奴じゃねンだよな。 「ま、お前が最後でいいなら───────」 「あの」 「ん? 」 「俺、『お前』じゃなくて謙信て名前ちゃんとあるンスけど」 「知ってるけど? 」 日本のことわざとかちゃんと知ってる割りには、俺の言葉のこーゆーニュアンスは分からねーのか。 まぁ、頭良いっつっても日本に長くいねぇとこーゆーニュアンスは理解できねんだろーな。 オリヴァーセンパイと喋ってたら弁当のとこの人が捌けてきた。 俺がそっちに向かって歩き出すとオリヴァーセンパイも着いて来る。 ……なぜ……? 「お前、『謙信』て呼んで欲しいの? 」 「……それダイレクトに聞く……? 」 マジでなんなのこの人。 ニュアンス伝わってるし。伝わってるなら聞くなよ。やっぱ変な奴。 「イギリス人は遠回しな言い方とか嫌味っぽい言い方が多いけど、俺は自分の性格的にハッキリ言ってくれる方が分かりやすくて好ましい」 「あ、そ。オリヴァーセンパイが『オリバー』と『オリヴァー』にこだわるくらいだから? 名前にこだわる人なのかなーって思ったんですけどね? 違ったみたいですねー」 「イギリス人みたいな言い回しするな」 「へーへー。スミマセーン」 そこでやっと弁当を選び始めたんだけど、何でこの人ずっとここにいんの? 別にいーけどさ? ……えーと……唐揚げかぁ。回鍋肉もある。 結構ガッツリ系の弁当だな……。 ぁ。鮭! 魚もちゃんとある! えー1つに決めんの難いな。そもそも1つじゃ足りねンだけど、ここで2つ貰うのはなんか恥ずいし……。 「西園寺」 「はい」 「俺もう1つ弁当貰っていいか? 」 「勿論いいですよ♪」 ……この人もう既に1つ食い終わってたってこと? バカ早ぇな。 「オリヴァー、さっき食べ始めたのにもう食べ終わってたのか」 「まぁな♪」 オリヴァーセンパイもだけどあの外人さんもガタイいんだよな。イーサンだっけ。 始まった時の自己紹介で「イーサンと呼んでくれて構わない」って言ってたよな。 つか、「構わない」って許可出すよーな言い方からしても多分かなりいいとこの坊っちゃんなんだろーな。
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