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「そう言うイーティーももうほとんど食べ終わってるじゃないか♪」
「……」
「ははは♪」
イーサンセンパイに軽くツッコミを入れた外人さんは、確かレジーって名前だったはず。
レジーセンパイも、オリヴァーセンパイやイーサンセンパイほどじゃないにしてもそこそこのガタイ。
やっぱ外人さんはデケェな。
「よし。じゃあ遠慮なくもう1つ食べよう♪どれにするか決めたか? 謙信」
「ぇ……」
「……ふ♪」
クソ。サラッと名前呼びやがった。
「ふ♪」じゃねぇよ。俺がビックリしたの見て楽しそうにすんじゃねぇよ。
ま、ケンカしにきたわけじゃねーから見逃してやるけど。
「俺は……どーしよっかな……。唐揚げもいいけど鮭もいい……」
家では魚派のジーちゃんの好みに合わせた食事になることが多いから俺の好みもジーちゃん寄りで、肉はモチロン好きだけど魚も好き。
兄ちゃんはそれでも肉の方が圧倒的に好きっつってるけど。
母親がそーゆー風にジーちゃんに好みを合わせてあげてるとこは尊敬してんだけどな。
そーゆーとこはスゲーなって思うんだけど、元警察官の息子である父さんと結婚しただけあって、俺と兄ちゃんが暴走族に入ってることが気に入らない。
兄ちゃんは「仕方ないし、気持ちは分かる」っつって全然気にしてないけど、俺はやっぱ母親の態度が好きになれない。
「謙信も2つ食べればいいだろ」
「ぉ……? いーのかな? 」
「いいだろ。俺は良いのに謙信がダメなんて言う訳ないだろ? 」
オリヴァーセンパイにそう言われて、チラッと生徒会長を見ると、生徒会長は「勿論ですよ♪僕らの年齢の男子なら2つ食べる人もいるのは想定してたから多めに用意してますし♪」って言ってくれた。
「あざっス! じゃあ唐揚げと鮭にしよー♪」
ホクホクで弁当2つ持ってさっきまで座ってた席に戻ろうとすると、何故かまたオリヴァーセンパイが着いて来た。
無視して席に着くとオリヴァーセンパイはどっかから椅子を持って来て俺の隣に着席。
「……アンタ何したいの? 」
「飯食いたい」
「そーじゃねぇよ」
「情報収集」
「そーじゃ────────は? 」
『情報収集』? 何の?
「……食べながらでいい」
「ぉ、おぅ」
オリヴァーセンパイの空気が少し変わった。
食べながらでいいって言われたし、オリヴァーセンパイも食べ始めたから俺も食べ始める。
オリヴァーセンパイは一口がデケェけどキレーに食う人だった。
だからって自分の食べ方を直そうとか思うわけじゃねーけど。
………………。
「……そんなに見るくらいなら亜朗さんの側にいればいーじゃん」
オリヴァーセンパイ亜朗さんのこと見すぎ。
一応バレないよーにしてるっぽいけど。
「守ろうとしてる」って言ってたのは多分、『近くにいる時』だけじゃなくて、探してでも『いつも』って意味なんだろーな、って思うくらい見てる。
……ただ、何でそこまで守ろうとしてるのかは分からねぇ。
確かに亜朗さんは可愛いし優しいから、色々勘違いして亜朗さんに迫る奴もいるかも知れない。でも紫朗の話しだと亜朗さんの幼馴染みとかセンパイ達がそーゆー奴らを排除する役割を担ってるらしいけど、オリヴァーセンパイもその中の1人なのか?
紫朗とは何回か電話もしてるけど、紫朗からオリヴァーって名前は1回も出てきてない。
単に紫朗とオリヴァーセンパイが絡んだことないだけかも知んねぇけど。
つか、亜朗さんを守るっつってもこんな人数いる所で亜朗さんに何かする奴はいねーだろ。
なのにオリヴァーセンパイはずっと亜朗さんを気にして見てる。
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