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…………もしかして……亜朗さんを守るってのは、良くねぇ奴らからってだけじゃなくて、亜朗さんが怪我したりしないよーに、ってことなのか……?
例えば今なら、亜朗さんは生徒会のメンバーと一緒に弁当食べながら別件の生徒会の仕事の話しをしてるんだけど、亜朗さんの後ろには移動できるタイプのホワイトボードがある。
何かの拍子にそのホワイトボードが倒れてきたら、間違いなく亜朗さんにぶつかる。
────────って、そーゆーことからも亜朗さんを守ろーとしてる。よーに見える。
「いや。俺はこの位置でいいんだ」
「……ふーん? 」
よく分かんねーけど、俺がオリヴァーセンパイに亜朗さんのとこに行くよーに促すモンではないってのは分かる。
それに俺に話しあるみたいだし。
そんな風に思ってたら、オリヴァーセンパイがこっちを見た。
「謙信は、青葉連合という暴走族なんだろう? 」
「うん。ご存知の通り親衛隊長やってる」
俺をからかった時に俺が青葉連合の親衛隊長って言ってたし、亜朗さんから聞いたんだろう。
「……青葉連合は、筋を通す義理堅い団体だと聞いた」
「……『団体』って……」
暴走族に対してそんな風に言うのが面白く思ったけど、オリヴァーセンパイイギリス人だし、暴走族ってモンのイメージが分からねーならこんなモンかと思って笑いそーになるのを堪える。
「まぁ、義理堅いとかはよく分かんねぇ。でも……簡単には信じて貰えねぇかもだけど、青葉連合は創設時からずっと、一般人にメーワクかけねぇよーに不良共をまとめてきた。『暴れたい』んじゃなくて『守りたい』んだよ、青葉連合は……」
「なるほど」
「ま。それでも? だからこそメーワクかける奴らを暴力で圧えることもあるし、そのせいで他のバカな暴走族と同じだって見てくる人間がいるのも分かってるし、それは仕方ねぇことだって諦めてる」
「……自分じゃなく、他者を守る為に力を使うことをバカ臭く感じたことは? 守った相手が自分を理解しないどころか不満を言ってくるんだろう? 」
何が知りたいのか分かんねーけど。
こーやって青葉連合の話しを真剣に聞いてくれるのは少し新鮮で、嬉しいと思う。
「バカ臭く思ったことなんて別にねぇよ。自分のことは自分でジューブン守れるからな。だけど一般人は自分で自分を守ることすら出来ねぇ人が多い。そーゆー人達のことは俺らが守ればいい。それが他の人より強い力を持った人間の正しい力の使い方だって、青葉連合創った人が言ってた」
「塩原 大吉って人か」
あれ? 大吉さんのことまで亜朗さんに聞いたんか?
亜朗さん青葉連合について随分喋ったな。
ぁ、ぃや、もしかしたらオリヴァーセンパイが青葉連合に興味あって聞いたのかも。
ま、どっちでもいんだけど。
「謙信は喧嘩は強いか? 」
「まぁ、そこそこ強いと思うよ。なに♪やり合ってみる? 」
「いや、いい」
「あっそ」
「謙信は何故皐月に? 将来は決めてるのか? 」
なになに〜。
何の話しよ、さっきから〜。
いいけど〜話すけど〜。
「まぁ、医者に、って思ってる」
「そうか。俺は将来護衛みたいなモノをずっとやって行くと決めてる」
「『やって行く』って、まるで今もやってるみたいな言い方すんね? 」
「!! ぁ、ぃや、そんなつもりはなかった。ただ、そういう家系だから。という意味だ」
「へー、そーなん? カッケーじゃん♪」
ガタイいいし、オリヴァーセンパイっぽい気がする。
「……で、謙信は護衛として見込みがあるな、と思ったからスカウトしようと思ってこの話しをしてる」
「…………は? 」
…………今なんつった……?
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