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………………ぁ、まぁ……いや、悪い気は全然しねぇけど……。
……ぁ、そっか。だからさっき『他者を守る為に力を使うことをバカ臭く感じたことは? 』って質問してきたのか……。
「まぁ、そーゆー家系の人にそー言って貰えんのは嬉しいけど、医者になりてぇって夢あるし」
「だよな。すまない」
「いや謝んなって。俺『嬉しい』って言ったじゃん」
「……そうか♪」
オリヴァーセンパイも大変なんだな。家のこととか。
「……ところで、物は相談なんだが……」
「俺に? 相談? 何を」
「さっき俺は『桜岡を守ろうとしてるのは事実』と言った」
「あぁ、うん」
「実は実家の関係者から桜岡を見守るように言われてるんだ」
「…………はぃ? 」
え? 何で?
ぃや、何でっつーか、どーして亜朗さんを?
「……どーゆーこと? つか、誰から言われてんの? 」
「……名前は出せない。今は遠くにいる人で、近くで桜岡を見守れない人……とだけ」
名前を言えなくて、遠くにいる人……?
……………………ぁ、大吉さんとか颯懍さんじゃね?
東京にいるから『遠い』し、名前出せねーのは、万が一亜朗さんにバレたら、多分亜朗さんに『そんなことしなくていい』って怒られるから、とか?
大吉さんも颯懍さんも、めっちゃくちゃ過保護だもんな。
こないだも、結局理由は分かんねーけど亜朗さんを保護しろって言われて邑咲まで青葉連合行ったし。
でも何か大きな理由があるのは分かる。
特に颯懍さんはどこまで顔が利くのか分からんくらいスゲー人だから、オリヴァーセンパイの実家と繋がりがあるのかも知れない。
亜朗さんの見守りをしてるのが自分だとバレたら亜朗さんに怒られるけど、外国の護衛一家の息子に見守らせていればバレる心配もほとんどない。
は〜…………多分コレ、マジで颯懍さんだわ。うん。絶対ぇそうだ。
「……多分俺、その人分かった……」
「………………そうか」
ほら。「誰だと思った? 」とか聞いてこねぇってことは、オリヴァーセンパイもきっと俺が颯懍さんて答えに辿り着くの分かってたんだと思う。
で、何でオリヴァーセンパイがこの話しを俺にしてきたか、だ。
俺に護衛の素質があるって認めた上で言うんだから、結論はコレしかない。
「オリヴァーセンパイ卒業するし、俺が亜朗さんを見守ればいいのね? 」
「話しが早いな」
「まぁ元々守る気だったからな。亜朗さんあんな可愛いのに男子校に通ってるっての心配だったし、俺に勉強頑張る力くれたし、しかもこの勉強会にもホントに誘ってくれた……」
「『ホントに』とは? 」
「勉強会の計画聞いて……。疑ってたわけじゃねーけど、亜朗さんに人付き合い上手そうだから社交辞令かもって思ってたから、この人は全部を信じてもいい人なんだろーなって思ってる。他人から害されていい人じゃない」
「『全部を信じてもいい人』……か」
俺とオリヴァーセンパイが亜朗さん達の方を見ると、亜朗さんは生徒会の人と真剣な表情で話しをしていた。
「……それにさ、さっき皐月中等部の奴らが話してんの聞こえたんだけど……」
「何と? 」
「なんか……詳しいこと分かんねーから内容を的確に理解はできてねンだけど……亜朗さんのことあんまよく思ってねー奴いるみたい……」
「あぁ……」
オリヴァーセンパイは分かってるな、コレ。
分かってんなら安心。
さっき、俺が弁当選ぶのを待ってた時。
最初に選び終わって弁当食べ始めた奴らが喋ってた。
「あの桜岡って人が、内部と外部の壁壊した人らしい」
「生徒会をタラシ込んだって聞いた」
「余計なことしてくれたよな」
「内部と外部があるから今の皐月があるのに」
って。
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