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俺には何のことか分からなかったけど、亜朗さんをよく思ってない奴がいるのだけは分かった。
勿論亜朗さんが絶対の正義だとは思わない。
亜朗さんのやったことが、誰かの正義にはならないことだってあるだろう。
けど、だからって亜朗さんを害されるのは許せない。
だって────────────
「俺にとっての亜朗さんは、味方になってくれた人で、味方になりたい人。助けてくれた人で、助けになりたい人」
「……うん……」
「多分、亜朗さんの幼馴染みが亜朗さんを近くで守ると思うんだけど」
「……知ってるのか」
「うん。亜朗さんの弟から聞いた。弟とそこそこ仲良いんだ」
「そうなのか」
驚いた様子のオリヴァーセンパイ。
今日イチ面白ぇ顔かも。
「でも、オリヴァーセンパイみたいに少し離れた場所から見守るのも必要じゃん? 近くにいるからこそ見えないことも、できないこともあるだろーし」
「距離を保ち、情報を集めてから行動を起こす者もいる。そういう奴の゙動きを更に距離を取って監視するのは近くにいる人間にはできない」
「だろ? だから任せていーよ♪俺がオリヴァーセンパイの後引継ぐわ♪」
「頼もしいな♪任せた♪」
「おう♪」
颯懍さんが依頼主だって分かってっけど、それには気付いてないフリしなきゃなんねーな。
兄ちゃんにもうっかり言わねーよーに気を付けねぇと。
亜朗さんを守りたいだけなのに、怒られたらさすがにカワイソーだし。
……まぁ、若干過保護すぎな気もしないでもねぇけど……。
「2年に、俺と同じように桜岡を見守ってる奴が1人いるんだが、今度紹介する」
「ぇ、オリヴァーセンパイだけじゃねーの? 」
「あぁ。俺とそいつ、2人いる」
「弟? 」
「ぃや、弟ではない。弟みたいなモノだがな」
「そーなんか」
それにしても、2人も見守り人員いるとか、マジ亜朗さん颯懍さんに大切にされてんなー。
ぃや、あの邑咲体育館の一件で分かってはいたけど。
「謙信、連絡先教えてくれるか? 入学前に紹介したいから、今度どこかで3人で食事でもしよう」
「奢り? 」
「モチロン」
「ラッキー♪連絡先ね、オッケー♪」
ウキウキでスマホを出し、オリヴァーセンパイと連絡先を交換していたら亜朗さんが寄って来た。
「ホントにすっかり仲良しだね♪」
「亜朗さん♪」
うん。亜朗さんのこの笑顔サイコーに可愛い。
この笑顔が曇るのはダメだ。
俺が守らなければ!!
「謙信とは話しが合うんだ♪」
「ふふ♪オリヴァー先輩、朝ずっと心配してましたもんね♪強面だから参加者の皆に怖がられたらどうしよう、って♪」
「さ、桜岡、それは内緒にしておいて欲しかった」
「スミマセン♪でも俺、きっとオリヴァー先輩と話しが合いそうな人いますよって言ったじゃないですか♪それ、謙信くんのことだったんですよ♪」
「その通りだった♪」
ふ〜ん♪
オリヴァーセンパイ意外とビビリだったんだ?
まぁ確かに? オリヴァーセンパイ強面だしガタイいいし? そりゃビビられるわな♪
俺みたいな奴がいて良かったじゃん♪
…………………………ん?
あれ……? 今の会話……何か変じゃね?
オリヴァーセンパイ、亜朗さんから俺のこと前もって聞いてたから『9代目青葉連合の親衛隊長』って言われたと思ってたけど……。
亜朗さん、今「それ、謙信くんのことだったんですよ♪」って言ったってことは、オリヴァーセンパイに俺のこと教えてなかった……ってことだよな……?
あれ? じゃあどうしてオリヴァーセンパイは俺が青葉連合だって知ってたんだ……?
……ゃ、可能性は2つある。
今日の参加者の『天津 謙信が青葉連合のメンバー』だって話しはしてあったけど、『オリヴァーセンパイと話しが合いそうな人が天津 謙信』だとは言ってなかった、って可能性。
それから、颯懍さんが依頼主だから皐月ルートじゃなくて単純に実家ルートで俺のことを聞いて知ってた、って可能性も。
………………。
ま、どっちでもいんだけど。
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