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その後、レジー達貴族がアーサーとセオドアについたことにより、困惑しきりの亜朗にアーサーとセオドアは言った。
「こんなに大勢の人がいる前で急に告白なんてして……。アロに会えた嬉しさで舞い上がってしまった。本当に申し訳ない」
そう言って頭を下げる2人。
「11年振りだし、そもそも11年前だってまともに会話をしたのは、あの後一緒に遊んだ時の一度きり」
「だから俺らのこと全然知らないだろう? でも、これから色々知って欲しいと思っているんだけど……それは許してくれるかな? 」
不安そうにそう言ってお伺いを立てられれば、亜朗は「知る……のは、勿論大丈夫……」と返すしかない。
「良かった♪ホッとした♪」
「あぁ♪ぁ、モチロン何かを無理強いなんてしないから安心して欲しい♪」
「「これから宜しく♪」」
本当に嬉しそうな笑顔で手を差し出した2人に、「こちらこそ♪」と握手をする亜朗も笑顔。
─────────と、そんな3人を見ていた生徒達は皆一様に、
(((((((((((((とか言ってるけど、どーせ全力で構い倒すんだろーな……)))))))))))))
────────と、満場一致でそんな風に思ったのだった。
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と、本当にそう思っていたのだが……───────
「えー!? ウソっ!? 紅茶ってこんなに美味いの!? 」
「マジで美味い! ハマりそう♪」
「そう言って貰えると嬉しいわ♪な、アート♪」
「だね♪淹れ方一つで味も変わるからね♪」
「てか、アーサーもセオドアも自分で紅茶淹れんの? 」
「メイドさん? とかやってくれんじゃねーの? 」
「「…………」」
「「「アーサー? セオドア? 」」」
「……正直に言っていい……? 」
「「「何ナニなに!? 」」」
「………………あのな、」
「「「うん……」」」
「「俺達が淹れた紅茶が1番美味い……」」
「「「……ぁ〜……♪なーるほど〜♪」」」
アーサーとセオドアは今、昼休みの食堂で生徒達に手ずから紅茶を振る舞っていた。
この短時間で既に『アーサー』と『セオドア』呼びされているところを見ると、一緒にいるのは同じクラスの生徒だろう。
朝はバシバシにカッコつけたスーツだったが、それも既に制服に着替えている。
セオドアにいたっては、既に若干制服を着崩しているが、それもクラスに馴染んだ証拠だろう。
真摯で誠実そうな人間だということに加え、皐月学園で既に多くの生徒から信頼されているノリの知り合いであり、同じく信頼されているレジー達の彼らへの対応。
そして、辛い過去を背負い、しかしそれに負けずに生きてきたという話しを聞いてしまったのだから、同情こそすれ、避ける対象にはならないのだ。
そんな2人とクラスメイトの元にスイーツを持って現れた2人の生徒。
「アーサー様セオドア様、お菓子を持ってまいりました♪」
「皆、このお菓子と一緒だと紅茶がもっと美味しく感じるよ〜♪」
「「ありがとうオリヴァー、ジョシュア♪」」
ガルガンド家の使用人ということになっている────────間違いではないが……────────オリヴァーとジョシュアにしっかりとお礼を言うのを見たクラスメイト達が少し驚いた顔をする。
「……へー……ちゃんとお礼言うんだ……、ぁ、変な意味じゃなくてね? 」
「うんうん、こーゆー時って「うむ、置いといてくれ」みたいなイメージあった」
「何を言うか! アーサー様もセオドア様もそれはそれは本当にお優し───────」
「はいはいオリヴァー落ち着いて落ち着いて」
「セオドア様……! しかし……! 」
「あんまりそういうこと大声で言われるとさすがに恥ずかしいから、ね? 」
「はっ! も、申し訳ありませんンンンッッ!! 」
「オリヴァー……」
「「「ぁははははは♪」」」
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