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龍パパとスミレさんがいて。
カッコよくて優しくて、力も強くて頼りがいのあるお兄ちゃんが3人もいて。
皆に可愛がられるその子は、笑うようになり、歩くようになり、喋るようになればますます可愛くて仕方なくなるだろう。
素敵なお兄ちゃんに憧れて、真似っこなんかするようになったら可愛すぎてデレデレだろう。
ちょっと生意気なことも言うようになる頃には、三つ子だって大人になってるからきっと「ぅわ生意気〜♪」って笑って許すし、龍パパとスミレさんの子だから女の子だとしてもちょっとヤンチャだろうし、そしたら三つ子は沢山心配をして、沢山「大切だから心配なんだ」って伝えてあげるんだ。
…………ほらね、
今俺に、向けられてるモノが全部……その子に向かうようになるでしょ……?
いつか離れて行って欲しいと思っていた。
それは三つ子の障がいが治るのと同義だから。
その時がくるのを願っていた。
でも、正直言うと……高校生でいる間に『その時』がくるとは思っていなかった……。
自分の考えの浅さに、バカだなぁと思う。本当にバカ。
それこそ何を根拠に『高校生でいる間は』なんて思ってたんだろ……。
俺がタイミングを見計らって、俺から解放するつもりでいたことに気付いて、自分の傲慢さに呆れたし、嫌悪感を抱いた。
まるで三つ子を自分のモノであるかのように考えていた自分は、なんて傲慢で醜い人間なのだろうと。
どこまで最低な人間に成り下がるつもりなのかと。
……そう思ったら、眠れなくなった……。
三つ子も千尋も、早くこんな最低な人間とは距離を取るべきだと思って、どうしたらそうできるのかを考えたら眠れない。
今日は考えるのをやめて眠ろうと思っても『自分を優先するのか』と、『自分より三つ子と千尋の方が大切だなんて言っておきながら、結局自分の方が大切なのか』と……内なる自分が自分を責めてきて眠れない。
どうしてこうも……自分は厄介なのか……。
最低なだけじゃなく厄介でもあるなんて、もうどうしようもない。
あぁ……、
こんな自分はあの時、眠りから醒めなければ良かっ──────────
「「アロ? 」」
!!
しまった……!
「アロ、どうかした? 」
「ボーッとしてたけど、大丈夫? 」
「……アート……テディ……」
ダメだダメだ。
今はこんなことを考えてる時じゃない。
さっき湊斗が指差したのは、アートとテディがこっちに来てるって意味だったらしい。
「ゴメン、ちょっと考えごとしてた」
「……本当に? 」
「その割りには顔色があまり良くないようだけど……」
「そうかな? 昨日はテディに貰った湯たんぽのお陰ですぐ眠れたから顔色良いはずなんだけど♪」
「ホント!? 良く眠れた!? 」
「うん♪ホントにありがとう♪」
「どういたしまして♪アロが良く眠れて良かった♪」
話しながらチカ会長が取っておいてくれている席に向かう。
「それでね? ウトウトしながら、テディに『眠れそうだよー』ってお礼のメッセージ送ろうと思ったんだけど、俺2人の連絡先聞いてない! ってその時気付いて、今日絶対聞かなきゃって♪」
「ふふ♪俺とテディも昨日の夜、アロの連絡先聞いてなかったことに気付いたんだ♪同じだね♪」
「ふふっ♪だね♪」
「それで俺達も知りたいと思ってたところに、アロが親臣に連絡してくれて、親臣が時間が決まってる昼休みでのランチならアロの負担にならないだろう、って提案してくれたんだ♪」
「そうだったんだね♪」
会話に区切りがついたところで、チカ会長のいるテーブルに到着。
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