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「(……ははは♪謝るより先に皐月学園にツリーを用意するべきでは? ……だから、謝るより先に─────────)」
「さ♪ツリーの件はテディに任せて俺達は食事を進めよう♪」
アートにそう言われてチカ会長も俺も食事を再開したんだけど、どうしてもテディが気になる。
「(迷惑かけた分、注文されたモノより良いモノを用意すべきだと思いますので早急に……、は? 『どの程度の』って、ソレは俺が決めるべきことですか? はは♪貴方は相変わらず人に頼ることがお上手だ♪ただ、もう少しご自分の意見も持たないと♪それに俺の意見など畏れ多くて言えませんよ♪ははは♪)」
…………………………ぅわ〜ぁ……。
今のって……『人に聞いてばっかいないで、少しは自分で考えろ』『俺はアドバイスしねぇぞ』ってことだよね……?
お、怒ってる〜……!
「うん。アレがイギリス人の得意な言い回しだよ♪」
「「……べ、勉強になります……」」
アートにテディの嫌味を爽やかに紹介され、珍しくチカ会長と声が揃った。
「(……はぁ? 横取りしようとしたとこの対処くらい自分達でやったらどうです? そちらの賠償なんて俺の知ったことでは…………ぁ〜……もう、分かった分かった。分かりましたから泣かないでくださいよ)」
……怒ってはいるけど、やっぱりテディ優しい♪
「おやおや♪テディは相手を泣かせたようだね♪向こうは50代のオジさんだし、泣いたところでその涙の価値なんてないに等しいのに泣き落としとは……よくやるよねぇ♪よほど自分の価値を理解していないとみえる♪俺が教えて差し上げようかな♪ね、アロと親臣もその方がいいと思わないかい? 」
「「ぉ……、思わなないデス……」」
「そう? 」
……こ、こっわ……。
多分、テディが相手の人に利用されることが面白くないんだろうね……。
「(で、相手は誰です? …………ぇ? あぁ〜なるほど、分かりました。それではコレは引き受けるので、貴方はさっさと皐月学園にツリーを送ってくださいね。最速で届くよう、…………は? ハァ……貴方ね、この期に及んで送料をとやかく言える立場だとお思いなんですか? いい加減にしないと…………、はい♪分かれば良いんですよ、分かれば♪それでは宜しくお願いします♪)」
…………脅そうとした……。
今絶対脅そうとした……。
……『いい加減にしないと』の続き気になっちゃうなぁ……。
テディの様子を見つつ、モグモグと食事を進めるチカ会長とアートと俺。
電話を切ると俺らの視線に気付いていたテディはニカッと笑って「ツリー最速で送ってくれるから安心して♪」と、あっという間に生徒会が抱えていたトラブルの解決宣言。
「セオドアくんありがとうございます♪」
「どういたしまして♪」
「テディ、ホントにありがとう♪」
「いいんだ♪俺に出来ることだったからやっただけだから♪」
やっぱり優しい♪
チカ会長と俺に笑顔だったテディは、「で、アート。アートの出番だぞ」とアートの方に向き直った。
テディにそう言われたアートは、とても上品な所作で紙ナプキンで口元を拭う。
「『アートの出番』てどういうこと? 」
「ツリー横取りしようとした奴、コンプトン家だ」
「ふむ……なるほどね。分かった。俺の名前で、向こうの朝一で電話を寄越すようにメールを送っておく」
「あぁ、そうしてくれ。あまり怒ってやるなよ? 」
「理由が理由だからね♪ちょっと注意するくらいにしておくよ♪」
??
アートとテディには理由がもう分かってるんだ?
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