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「(えぇ♪恐らく、外に飾る大きなツリーを皆楽しみにしているとは思うのですが、今年は趣向を変えてみたと言えば良いかな、と♪)」
「(い、いいかも知れません……っ! 子供たち、ツリーを撤去する時、いつも寂しそうにしているらしく……。でもツリー自体がスイーツなら、美味しく食べられて、その結果なくなるならそんなに寂しくないのではと! )」
「(なるほど。では、ツリー自体がスイーツではなく、本物ではなくイミテーションでもいいので院にギリギリ入るサイズのツリーを用意し、そこに可愛らしく個包装したスイーツをオーナメントとして飾る方がいいかも知れませんね♪アレルギー対策もしやすいですし♪)」
「(ぇ……? そうしてしまうとツリーの撤去の時……)」
「(そこで、スイーツはケーキなどの他にキャンディなどの日持ちのするモノも飾るんですよ♪そうすれば、ツリーがなくなってもそのキャンディを手元に置いておける。手元に何か形あるものが残れば、少しはその寂しさを慰められるかと♪)」
「(なるほど……っ!! そ、それは良案ですね! )」
うん! 俺もスゴく良い案だと思う♪
「(さ、早速そのようにどこかのパティスリーに手配を─────────)」
「(リチャード様)」
「(はい? )」
ぁ。アートも何か良い案あるのかな?
優しい顔してる。
「(余計なお世話なのは承知の上で、俺からも1つ提案が)」
「(そ、そんなことあろうはずが……! な、何でしょうか……? )」
「(リチャード様はご自分が当主になられてから、病院や幼稚園など子供たちの為の予算をだいぶ増やされましたよね? )」
「(そ、そうですね、子供たちは国の宝ですから♪)」
……リチャードさん、商売は下手なんだろうけど、人としては優しくて良い人なんだろうな……♪
「(それから、リチャード様の元には子供たちから毎月沢山の手紙や絵が届くそうですね♪)」
「(えぇ♪本当に可愛いんですよ、あの子達♪こ、こんな仕事のできないボクを慕ってくれてるみたいで、エルザという4歳の女の子は、『将来リチャード様と結婚する! 』とまで慕ってくれていると聞きました♪)」
「(おやおや♪それは可愛らしい♪)」
「(本当に♪)」
「(で、リチャード様はそんな可愛らしい子供たちに最近はいつお会いになりました? )」
「(ぇ……、ぁ、ぃえ……その、2年前に当主になり、その時に挨拶をしに行き……その後は……せいぜいクリスマスくらいで……。その、ボクは仕事が出来ないので……忙しく……)」
リチャードさんの言葉を聞いて、アートはテディと顔を見合わせて微笑む。
「(リチャード様、今年、ガルガンド家が経営するパティスリーにリチャード様のところに入院していたことのある女の子が1人弟子入りしたのはご存知ですか? )」
「(えぇ。メアリー、ですよね? )」
「(そうです♪……メアリーはリチャード様が当主になられてから、入院中に色々な催しが開かれるようになって楽しかったと言っていたそうです♪)」
「(そ、それは良かった♪メアリーはお菓子作りが好きで、将来の夢もパティシエだと♪だからボク、そういう催しも……。ボクがやったことが、メアリーが夢へ歩んで行く力になれたのかな、と図々しくもそう思って───────────)」
「(図々しくなんてありません。間違いなく、リチャード様がメアリーの背中を押しましたよ♪)」
「(っ……う、嬉しいです……♪)」
リチャードさん、きっといい人すぎる。
周り人を優先しすぎて、だから夜中の3時まで仕事するしかないのかも知れない。
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