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「え、まだこんなにあるの……さっき演者さんとスタッフさんたちが皆食べてたのに?」
「あはは……人数多いからって、大きいの頼んじゃったからなぁ。ちょっと見積りが甘かった。他の部署の人たちにも手伝ってもらうか」
「クランクアップの時も飲み会するんでしょ。……あぁ、今月は太っちゃいそうだ」
「ぬーさんは細いから、ちょっとくらい誤差だよ、誤差」
「どの口が言うんだい。君だって細いのに……あ、美味しい」
チョコレートの味が口いっぱいに広がる。ふわふわのスポンジの感触。とろりととろけるクリーム。
「だろ? うちのスタッフが教えてくれたお店なんだ。今度から社内でお祝いする時、ケーキはここに頼むか」
「毎度こんな大きいの頼んで、僕らの会社を破産させないでよね、岩田社長」
からかわれたかっちが大きく笑った。
「生憎、社長やってても、お金回りはいつも君に頼んでたからとんと疎くてね。ま、今はこの通りだから頑張るけどさ。んー、しかし美味しい」
彼はペロリと平らげると2切れ目に手を伸ばす。大きな皿の隅には、僕が先程吹き消した28本の蝋燭が置かれていた。
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