斎藤利三、三男の回想を紹介した『本能寺の変 信長の油断・光秀の殺意』

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斎藤利三、三男の回想を紹介した『本能寺の変 信長の油断・光秀の殺意』

 ここに一冊の新書がある。    洋泉社の歴史新書y『本能寺の変 信長の油断・光秀の殺意』 藤本正行(ふじもとまさゆき)                2010.10/21 初版  本の奥付に藤本氏の略歴が紹介されている。  <1948年東京生まれ。  慶應義塾大学文学部史学科卒業。現在國學院大學兼任講師。日本軍司史・風俗史専攻。文献・絵画・城郭・甲冑武具研究を集合した独自の歴史研究を展開している・・・>  補足すると代表作としてはロングセラーとなった講談社学術文庫『信長の戦争』(2003)を筆頭に、洋泉社の歴史新書yから『桶狭間の戦い 信長の決断・義元の誤算』『長篠の戦い 信長の勝因・勝頼の敗因』を刊行している。  戦国時代の研究に大きな功績のあった方で、『信長公記』を基に『信長の戦国軍事学』(JICC出版局 1990)をまとめ、2003年には講談社学術文庫から『信長の戦争』として出版。  2008年には洋泉社の新書yから『桶狭間・信長の「奇襲神話」は嘘だった』を刊行する。  一連の著作で、  「桶狭間の戦いは背後からの奇襲ではなく正面攻撃だった」 と主張。現在ではほぼ定説となっている。  大河ドラマの歴史考証でお馴染みの歴史学者、小和田哲男(おわだてつお)氏も、『歴史ドラマと時代考証』(2010 中経出版)の中で、ハッキリと藤本氏の一連の著作で桶狭間の戦いの研究が進んだと認めている。   さらに『月刊百科』308号に掲載された「武田信玄の肖像」、『武田信玄像の謎』(2005 吉川弘文館)などで、武田信玄の肖像として教科書にも使用されていた成慶院所蔵の肖像画について、  「武田信玄を描いたものではない」 と主張。こちらも定説になりつつある。  さらに安土桃山時代について記した良質の古文書と評価のあった『武功夜話』 について歴史研究家の鈴木眞哉(すずきしんや)氏との共著、『偽書『武功夜話』の研究』(2002 新書y)で後世の偽書として指摘。大きな反響を呼んだ。  歴史ファンの間でも人気が高く朝日新聞出版から2013年に朝日新聞出版社から刊行された『週刊 日本の歴史』創刊号の「織田信長の見た夢」にも「長篠の戦い」を寄稿している。    『本能寺の変 信長の油断・光秀の殺意』は本能寺の変の全体像を描き、  「信長殺しは光秀の単独犯行だった」(帯の見出し) と主張し「黒幕説」を批判している。  そしてこの本の第三章。  183頁から始まる「注目すべき利三の息子の遺談」では、「山鹿流(軍学)の秘書」に掲載されていた明智光秀重臣、斎藤利三の三男、利宗の遺談を取り上げているのである。
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