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昨日の夜に一生懸命ラッピングしたチョコを両手でつかんで深呼吸する。
それから決意を固めると、達樹先輩に向かって真っ直ぐに両腕を突き出した。
「あの、あたし……ずっと好きでした」
「誰が?」
わかっているくせに。ふっ、と意地悪く笑う達樹先輩を上目遣いに見上げる。
「達樹、先輩が……」
「ん?」
小さくだけど、ちゃんと名前を言ったのに、達樹先輩がわざとらしく首を横に傾ける。
「ずっと前から好き。たっちゃんのこと!」
昔の呼び方で、半ばヤケ気味にもう一度告白したら、達樹先輩が満足げに口角を引き上げた。
「うん、合格」
チョコを持つ手が引っ張られて、あたしの身体が達樹先輩の腕の中にすっぽりとつかまる。
「俺も、繭のこと好き」
ぎゅっと強く抱きしめられて、左胸がドクドクと激しく動悸する。
くっつきあった達樹先輩の左胸も、あたしに負けないくらいにドクドク鳴っていた。
【完】
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