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「なーにしてんの?こんなに朝早く」
達樹先輩に耳元で囁かれて、心臓が大きく跳ね上がる。
「せ、先輩こそ、何してるんですか?朝早くから」
「俺?俺は、起きてカーテン開けたら、いつも遅刻ギリギリの繭が自転車飛ばしてるのが見えたから。こっそり後つけてきた」
え!? 付けてきた? どこから見られてたんだろう。
冷や汗をかくあたしの肩の上から、達樹先輩が下駄箱に向かって腕を伸ばす。
「それよりさー、これ。お前から?」
そう言って達樹先輩が下駄箱から抜き取ったのは、あたしがついさっきそこに入れたばかりのチョコレート。
ちらっと振り向いたあたしに、ニヤッと笑いかけてくる達樹先輩。その顔を見る限り、だいぶ初めの方からどこかで行動を監視されていたことは確実で。
「チョコを入れたのはあたしじゃない」などという言い逃れはできそうもなかった。
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