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アミは浩市の表情に気が付いて、助けを求める。
「浩市さん、答え分かっているなら教えて~!」
「経営に答えなんてないさ。いつも、最善を尽くすだけ。ただ、どちらか一方を取るだけなのかと思って…。」
アミは浩市の発言にハッとした。
そうだ。あたしはターゲットを男性か女性に無理やり絞ろうとしていた。
だけど、両方だっていいはず。
アミは思わず大きな声を上げた。
「カップル!」
浩市がその通りという顔をしている。
「飲食店だからね。カップルで来る機会も多いよね。パワーストーンのカフェやバーは珍しいから、女性が来店動機になる。」
「仕方なく、ついてきた男性でも興味をもつかもしれない…。」
「そう。その場でプレゼントする男性もいるはず。以前に、米国にいたとき、バーやレストランで花束を売り歩く少年を見かけたことがある。突然、もらう花束ってうれしいものでしょ?」
「確かに!お花の代わりにパワーストーンのプレゼントなんて、素敵すぎる。絶対、男性のポイント上がりますね!」
アミの頭の中でお店の構想が一気に拡がった。
彼に突然、パワーストーンをプレゼントされて、喜んでいる女性の姿が浮かぶ。
「料理も凝ったものを出したら?例えば、『仕事運がよくなるパスタ』とか?パワーストーンとも合わせやすいように。」
「すごい!!そんな発想なかったです。」
「もっとも、そんなパスタがあるのか分からないけど…。」
「でも、『美人サラダ』とかのメニューがあるから、考えれば、きっとあるはず。」
「店のコンセプト自体を『運がよくなるカフェ』みたいにしてもいいよね。」
「いいですね!そんなカフェ、一度は行ってみたくなる~。」
「それも、単なるネーミングだけじゃなく、きちんと、運気が上がるように、パワーストーンを配置したり、風水で間取りを決めたりするんだ。」
「素敵!そんな店なら、何度もリピートしたくなる。」
「それで、実際に、効果を感じたお客さんの体験談と写真を店の壁に貼っておくんだ。」
二人は時がたつのを忘れて、新しい店のアイディアを出し合った。
気が付くと、時計の針は日付が変わっていた。
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