第17話「旅立ち」

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「なんで、あたしにここまでしてくれるんですか?」 アミはずっと感じていた疑問を口にする。 これまでだって、そうだ。 独立したいというあたしの淡い思いを実現するために、経営などたくさんのことを教えてくれた。 今度は、店舗まで借りてくれた。 保証金や家賃だって、相当なものだ。 「一緒に見たくなったんだ。アミの夢を…。」 しばらく沈黙した後、浩市は口を開いた。 「アミと一緒に新しい店を開いて、企画や戦略を練ったり、一緒に働いて、喜びや苦しみを分かち合いたいんだ。」 『これって、プロポーズ?』 アミは浩市の言葉を聞きながら心の中で考えた。 店を人生に置き換えたら、まるでプロポーズみたいだ。 「もちろん、アミが嫌でなければの話だけど…。」 浩市はアミを覗き込むように見ていた。 「嫌だなんて!すごくうれしいです。お店を一緒にやってくれるってことは、いつも一緒に入れるってことですよね?」 「まあ、そうだね…。」 「あたし、それだけでうれしい!」 気が付くと、アミは浩市の胸の中に飛び込んでいた。 浩市もしっかりとアミを受け止めてくれた。 見つめあう二人。 もう、言葉はいらない。 二人は熱い抱擁を交わす。 これまでずっとお互いを求めてきたかのように…。 これから先にどんな未来が待っているのかアミにはわからない。 美紀のように浩市の優しさに傷付くときがくるのかもしれない。 新しく開く店だってうまくいくのわからない。 でも、たった一つ分かっていることがある。 例え、成功しても失敗しても、その経験がすべてアミの財産になる。 そう、あたしは間違いなく前進している。 今まで漠然として生きてきた人生に大きな目標ができた。 それに向かって歩んでいる確かな実感がある。 それだけじゃない。 その人生を共に歩むパートナーも見つかった。 今、アミの中には確かなものが心に芽生えていた。 自分に対する自信。 そして、Pride… 完
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