枯れ女

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 プルプルプル……。  内線が鳴る。私はキーボードを打つ手を止め、受話器を持ち上げた。 「はい。営業企画、羽賀です」 『二課佐々木です。お疲れ様』  聞こえてきた低い声に軽いめまいを覚え、右手で眉間を押さえた。 「……お疲れ様です」  チーム発足から約三週間、あれから全員揃っての打ち合わせの機会は無く、メールか電話でのやり取りでプロジェクトは進んでいた。内勤の私は週に二回のテレワークがあり、反対に他の三人は外勤が多く、顔を付き合わせる時間が調整し辛いというのも理由の一つだった。 『先週の統計がまだ来ていないが』  佐々木さんの低音が冷たく響く。 「すみません。会田さんが休んでいて……」 『会田?』 「いえっ。何でもありません」  こういったやり取りでメンバーの性格は大体分かってきた。新井田は面倒なことをとことん避ける無気力タイプ――寧ろ面倒ごとを避ける為に全力を尽くすタイプ、岡島くんは基本的には周りに従うけれどたまに変な方向に暴走する今時の若者タイプ、そして佐々木さんは――
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