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――出来ないなら俺が……。
(出来ないなんて思われたくない。会田さんが休みなのも言い訳にしかならないわ。仕事にイレギュラーはつきものだもの)
マウスを動かし、点滅するカーソルを移動させる。これを終わらせなければプロジェクトには進めない。
「おい、羽賀」
佐藤部長がとのんびりとした声を掛けてきた。
「リーダー代わって貰っても良いんだぜ」
私は部長に顔を向けた。相変わらず緩いマスクを付けているのか、鼻の下までずり落ちてしまっている。
「大丈夫です。一度引き受けた以上、これは私の仕事なので。これくらい出来なくちゃ上は目指せませんから」
「わーったよ。ま、無理せず頑張れ。前にも言ったけどな。失敗したって良いんだぜ」
「私は失敗なんてしません!」
ちょっと前に流行った台詞みたいに強気で返せば、部長は両肩を竦めて会話を切り上げた。
そう。何が何でも成功してやる。男なんかに負けてたまるか。
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