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私はリーダーだ。頼りないかもしれないけどメンバーの名前が分からないなんてことは流石に無い。
(もしかして女だからって馬鹿にされてる?)
私がマスクの中でむすりと唇を引き結ぶと、佐々木さんは無言で立ち上がった。一瞬近付いた距離がまた離れる。
彼は無表情にこちらを見つめ、ぽつりと呟いた。
「プロジェクトの名前は決めたか?」
仮称のままのそれ。やる気を鼓舞するだなんて思ってたけど、結局考える時間も取れず、正直どうでも良くなってしまっていた。
「……いえ。まだですけど」
「そうか」
(あなたも時間の無駄って言ってましたよね)
佐々木さんは特に感想を言う訳でもなく、椅子を戻し遠くを見つめる。マスクの下から細い顎が覗いている。
「あの……」「羽賀……」
口を開くと佐々木さんも同時に口を開いた。
「何でしょう」「何だ?」
また同時。一度タイミングが合うとこれだ。
「…………あの」「…………あのな」
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