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『すごいじゃん』
佐藤部長から内示があって二日後のことである。
「何もすごくなんてないけど。失敗して当然って思われてる訳だし」
『期待されてないってこと?』
「そんな感じ」
親友の清花は専業主婦だ。「枯れ女」な私と違い、大学を卒業して早々に結婚、ひなたちゃんっていう小さな子供がいる。その上絶賛ダブル不倫中だ。単なる人数合わせで行った合コンで、何故既婚男性と既婚女性が良い仲になるのか。これだから男っていう生き物は信じられない。女と番いたいという本能だけで生きているんだから。
私はふぅと嘆息した。
「明日顔合わせなんだ。新井田も居るんだってさ」
『新井田さんも? じゃあ楽しいじゃない』
「清花じゃないんだから。あんなチャラ男がいたって楽しくなんかありません」
テーブルの上の缶チューハイに手を伸ばす。清花と新井田は件の合コンのおかげで顔見知りだ。
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