炬燵=愛?

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わたしは早速ZOOMのアカウントを作成し、登録した。    3日後の土曜日、夜6時から、最初なので30分間の鑑賞に取り決め、ふたりの都合を聞くとふたりとも二つ返事で承諾してくれた。  そこで、URLを貼り付けたメールを送信し、クリックすれば通信できるようにした。  時間は過ぎ、土曜日は朝から何も手が付かないフワフワした感覚のまま、夜6時を迎えた。     ふたりとも時間に違わず入室してくれ、ミュートに設定し、第1回オンラインこたつが始まった。    こたつを画面いっぱいに押し出し、人間は小さい枠の中に存在した。  ふたりとも着ぶくれして達磨のようになっている。   5分、10分と経つと、ただただこたつを眺めるのに退屈を覚えたのだろう。もうトシエは舟をこいでいる。  定刻の30分の時間が過ぎ、ホスト役のわたしは皆のミュートを解除し「もう終わりだね」と、トシエと佐藤君に伝えた。    トシエは爆睡中らしく、顔を仰がせて涎まで垂らしながら眠っている。  「今度はオンラインあしをやりませんか?」と佐藤君は切り出した。  「オンラインあし?」わたしは不思議な感覚で訊き返した。  「人間の足です」佐藤君はきっぱりと云い切った。  「あし?誰の?」  「竹内さんのです」    わたしはたじたじとなった。  「何でわたし?」  「詳しい理由なんてありません。僕は竹内さんの足を眺めていたいんです。いや、今までも眺めていましたが、もっとしっかりと眺めたいんです」 佐藤君はわたしの足フェチだったらしい。 そしてまた、一風変わった足のオンラインが始まるのだった。           (了)
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