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2.星マイナスアイテム、「すれ違い」
二年生に上がっても、アイツとは同じクラスだった。
他にも同郷の友はいたけれど、それが嬉しくって新年度二日目になるまで気が付かなかった。
俺がそんな調子だから、クラスの連中はアイツと俺が仲がいいと思っている節がある。
他の連中がアイツと話している時、俺を見つけると一緒になって絡んで来たり、アイツに俺をいじらせたり。他愛もないやりとりだったけれど、俺は雨降りの時期にはそれが少し辛くなってきた。
「ちょっ、聞いてくんね?俺昨日、星5当てたわ」
「うっわ、きっしょ!お前、ふざけんなよ~えっ、てかマジ?誰?誰来たん?」
「どうせまたおんなじヤツだろ」
「なんで分かんだよ~」
アイツは周りをよく見ていて、普段は素っ気無いのに、友達との思い出とかは事細かに覚えていたりもする。他の友人とゲームの話をしている時も、どこか冷めたような調子で弄ったりするその小さな辛辣さが面白いらしく、いつも誰かに囲まれていた。
「帰ろうぜ」
アイツと仲のいいクラスメイト二人が誘うと、アイツは嬉しそうに頷いて、ゲームやら部活やらの話をしながら教室を出ていく。
たまに、一人でいる俺と目があっても、ぷいと逸らされてしまう。
思えば、一年生の時からそうだ。
アイツは、俺にだけ素っ気無さマシマシだ。
「……ラーメン食べてくか」
秋が来て、アイツと出会って一年が経って、そんな調子が続いて。
もどかしさを誤魔化すみたいに、俺は激辛ラーメンに水をマシマシな夕食を取るつもりで、教室を後にした。
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