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「三島さん、何か顔赤い?熱あるんじゃない?」
あぁ。その手の甲で頬に障るのやめてもらえませんか。あ、掌はもっとやめてもらえませんかぁ。
「緊張しちゃってるのかな。あはははは」
「それじゃあ、今日はこれで帰るね。またわかんないことあったらいつでも言って」
「今日は本当にありがとう。また何かお礼するね」
「それより配信する日決まったら教えてね。見るから」
「あ、えーとそれは恥ずかしいから、慣れてきたら教える」
岡崎くんに演歌を歌っていることを知られたくない。演歌を愛してるけど、やっぱり偏見を持たれたら悲しいもん。
玄関で岡崎くんを見送った後、その場にしゃがみ込む。
ダメだ。プライベートで男性と触れ合ったのが久しぶりすぎて、意識しすぎてしまった。演歌歌手になって5年、彼氏もいなければ恋すらせずに過ごしてきたのに。まだドキドキとする胸の鼓動はなかなか治まらなかった。
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