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ただ無邪気に笑っているような相川さんを見上げるしかできなかった。
数秒後、相川さんは私を見てニッコリ笑った。
「笑ったりしてごめんなさいね、でもあれだけ不用意に敵を作ってるんだから、これも覚悟の上よね?」
相川さんが何を言っているのか理解できない、そんな私の心の内を察したように相川さんは話を続ける
「人を攻撃するのも攻撃されるのも紙一重でしょ?だから普通の人は自分が攻撃されないように他人を攻撃しないの。相川さん、そのこと今まで気づいてなかったんでしょ?」
頷くしかできない。
私が悪口を言い始めた時、たいていの人間は最初は人の悪口を言うのを躊躇する、その理由がどうしてもわからなかった。
立場が逆転した相川さんは更に攻撃する
「佐藤さん、もしかして今までこんな目にあったことなかったんでしょ?それただ単にラッキーなだけだから。これから先はこんな事の繰り返しだろうね」
相川さんがニッと笑うと車椅子のご主人が「言い過ぎだぞ」相川さんを諌めた。すると相川さんは「ごめんなさいね」とまた謝罪した。
何も武器を持たない圧倒的弱者になった私は泣くしかできなかった。
側を通り抜けるスーパーの買い物客の事なんか忘れて声を上げて泣いた。
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