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「相川さん、前から言おうと思ってたんですけど、どうして車椅子の旦那さん引き連れて毎日買い物に来る必要があるんですか!周りの人の迷惑考えたことあるんですか!」
一気に捲し立てると快感が襲って来る。相川さんにこのスーパーも紹介して貰ったけれど、もう何もかもどうにでもなればいい。
自分は常に強者でありたいのだ。
相川さんは唖然と立ち尽くし一言こう言った。
「佐藤さんどうしたの?また何かあった?」
その瞬間、涙が溢れて来た。自分の敗北を悟ったのだ。
相川さんの口添えにより店長に早退の許可を貰い気づくと相川さんの自宅に行くことになっていた。
そこはスーパーの近くにある2LDKのマンションの3階だった。
このマンションは段差が無く手すりが壁沿いに備え付けられている。旦那さんの為にバリアフリー仕様になっているようだ。
リビングのソファに座って旦那さんと今日の猛烈な暑さについて話していると相川さんがお茶を持って来た。
頭を下げると相川さんがニカッと笑った。
「佐藤さん、私で良かったら話してよ」
今まで嫌って見下していた筈の相川さんに全てを洗いざらい話した。
夫のことや娘のこと全てを話した。
相川さんは優しい瞳で全てを聴いてくれた。
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