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「佐藤さん、人から愛されたいのはわかるけれど、まずはその人を愛さないと駄目でしょ?」
相川さんが言っている事の意味がわからない。黙り込む私に彼女は呆れたようにこう続けた。
「だから、人と仲良くなるために違う誰かを攻撃するのは間違ってるって言ってんの!娘さん取り込もうとして旦那さん責め立てたけど、結局今は誰一人としてあなたの側にはいないじゃないのよ」
現実を突きつけられ、項垂れるしかない。
物心ついた時からずっと誰かと繋がっていたかった
この孤独を埋めたかった
誰かに好かれたかった
けれど今までの人生で私の心が満たされた時はない。
相川さんが私の両手を握った。
「佐藤さん、もう一回人生やり直せるよ」
その言葉に心の隙間を埋められた。さも相川さんの言うことが正しいような気がしている。
震える体で頷き、そして相川さんが持ってきてくれた温かい緑茶を飲んだ。
「うちのは本当にお節介焼きでね」とどこか嬉しそうに言う旦那さんに相川さんが「わかってるわよ」と豪快に笑い返した。
攻撃をやめる、今度こそ誰かに愛されたい。
体の奥底からの思いだった。
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