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あれだけ苦労して育てたマナミに簡単に裏切られ腹の虫が治らない。
結局一人も味方がいない、どんなに人に尽くしても孤独だ。
自分はこの世界に必要とされているのだろうか
全身に鳥肌が立つ、手足の震えが止まらない、身体中に虫唾が走る、この怒りが鎮まるまで全身を掻きむしりたい。
誰かを罵りたい、蔑みたい、思いっきり殴りたい、切り刻んでしまいたい。
けれどもうレストランの入り口についてしまった。今からマナミの婚約者との食事会が始まろうとしている。
冷静にならなければならない。
必死に正常な状態に戻ろうとするが、戻れない、額に冷や汗が滲む。
マナミはそんな私の様子を気にもかけない、少し緊張した面持ちでレストランのドアを開けた。
マナミが名を告げると執事のような定員に奥の個室まで連れて行かれた。スタスタ歩くマナミとは正反対で誰かに足を引っ張られているように足取りが重い。
朦朧とした意識のまま個室の中にいた婚約者の家族がいるのを確認した。
両親であろう初老の夫婦と婚約者だ。
その瞬間、全身の倦怠感が消えた。みるみるうちに目の前が澄み渡っていく。
攻撃の対象を見つけた。
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