攻撃、攻撃、また攻撃

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部屋に帰ると誰もいない、暗闇の中で私は一人だった。 リビングの床に座り込む。 エアコンをつけていない蒸し暑い室内で私は一人。額から汗が滲み、やがて床にぽたりと落ちる。 どれくらいの時間が経ったのだろうか、カバンの中で携帯電話から着信音が流れた。 マナミが反省してかけてきたのだとすぐにわかった。 暗闇の中で着信画面の明るさが唯一の灯火だ。 「もしもし、お母さんいい加減にしてよ!どこまで私に迷惑かければ気が済むの?」 ところがマナミは謝罪する訳ではなくさらに私を攻撃する。 「何処までって私がいつマナミに迷惑かけたっていうのよ!」 「保育園の時からよ!先生や友達の粗探しして攻撃して、小学校の時もそう。私もお母さんが来れば私の思い通りになるからそれが誇らしかったし当然だと思ってた。でも今のお母さんみたいに友達も誰もいなくてずっと孤独だった。 お父さんとお母さんが離婚して、自由にお父さんと喋られるようになって、それは違うってお父さんが教えてくれたの!」 マナミは二ヶ月に一回の面会日の他にも父親の家に通っていた。 「……どうしてあんな男の所に通ってたの……私達を裏切った男じゃないのよ」 「浮気したのはお父さんが悪い、でもそうさせるまで追い込んだのはお母さんでしょ?」 マナミは知らぬ間にあの男に洗脳されていた。 「お父さんが仕事から帰ってきてるのに、毎晩お母さんがヒステリックにお父さん責め続けてお父さんどんな気持ちでいたと思うの?」 「……お父さんがお母さんの言うこと守ってくれないから」 「何で専業主婦のお母さんがいながら、お父さんが殆どの家事しなくちゃいけなかったの? お母さんはお父さんとか私とか周りの人達を攻撃しないと生きていけないんだよ!それしか生き方を知らないんでしょ?」 マナミの見下したような言い方に何も言えない、さらにマナミは攻撃を続ける。 「お母さんのせいでどれだけ苦しめられたと思ってんの? 同級生にはモンペの子って呼ばれて、先生たちには腫れ物に触るように扱われて、友達のお泊まり会や遊びには呼ばれないし、お母さん抜きの中学校の保護者snsグループあったって知ってた? お母さんのせいで私の人生滅茶滅茶だよ!これ以上お母さんには私の人生荒らされたくない!二度と連絡してこないでよ!」 唯一の灯火であった電話はこうやって切れてしまった。
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