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挨拶を交わして、彼と別れたあと。
「真理愛、久し振りに会ったんだろ? よかったのか? パパと買い物ならいつでも行けるんだし──」
圭亮が話し出すのを止めるように、真理愛が言葉を被せて来た。
「あたし、今日はパパと一緒がいいの! 二人きりなんて滅多にないもん。匠くんとは、会いたかったらまた会えるよ。近くに住んでるんだし」
「そ、うか」
真理愛の台詞に、頬が緩むのがわかる。
彼の方に行ってもいいというのは、紛れもない本音だった。親より友人を優先するのが当然の年頃なのだから。……この先は、彼氏も加わるかもしれない。
けれど、自分を選んでくれた娘を嬉しく思ってしまうのもまた、圭亮の正直な気持ちなのだ。
真理愛は圭亮の表情を見て、悪戯っぽく笑う。
「ほら、早く行こう! ……何買ってもらおうかなぁ」
そして、わざとらしく甘えるように圭亮の腕を引いた。
~END~
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