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「真理愛、試験勉強か? あんまり根詰めるなよ。睡眠は大事だぞ」
水を飲もうとキッチンへ来た真理愛は、そろそろ寝ようとしているらしい父と顔を合わせた。
「うん、もうちょっとだけやったら寝る。大丈夫、無理してないから」
「そうか。まあ、真理愛はちゃんと自律できてるもんな」
何かと信頼してくれている父。
「……ねえ、パパ。あたしが大学入ったら、パパももう自由になっていいからね」
軽く、何気ない調子で口にしたつもりだったが、上手くできていないかもしれない。
「どういう意味だ?」
父の怪訝な表情。少し硬い声。
「だってさ、パパは若いうちからあたしのことばっかりだったじゃない? あたしが居たから、結婚もしなかったんだよね? だからもう、自分のこと考えてもいいのに、って」
「パパがずっと、真理愛のために我慢してると思ってたのか? 真理愛にはパパが不幸に見えた?」
怖いくらい真剣な父に、真理愛は慌てる。
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