友達が壊れる時

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友達が壊れる時

思い出の公園。 大人になってからは初めて来た。 無料の動物園もあるから夕方までは子供も多い。 でも、園内のスピーカーから夕方のメロディーが聞こえてくると帰り支度を始め、次第にの時間になる。 そんな公園に高校の時は毎日のように友達と訪れては、意味もなく、時間を惜しむように話したりふざけ合ったり、時にはみんなで黙り込みながら夕焼けと西風に乗って届けられる京急の軋む音を聞いた場所。 沈黙が長いと、誰も話し出すタイミングを見つけられず、私は良く夕方のメロディーを口ずさんだ。 男3人、女2人。 思春期真っ只中なはずなのに、男女の隔たり無く私達は過ごしていた。 たぶん、まだ中学の気分が抜けきらない高1の春から気が合ってかたまっていたからなのかもしれない。 私と男子1人が二人きりで行動しようが、有美が誰かと二人きりでいようがそれが話題になることもなく、恋愛感情だってそこには存在していなかった。 そんな青春クライマックスを過ごす中で、私は友也を好きになっていた。 男子3人の中では二番目に背が高く、二番目にイケメンだった。でも一番優しかったんだ。 それはもちろん私だけにではなく、誰に対しても。 だからと言って告白するわけでもなく、付き合いたいと願うわけでも無かった。それはこの仲間のバランスを崩したく無かったから。 女優になれるんじゃない?と思えるくらい、顔にも声にも出さなかった。 突然、友也にキスされるまでは…
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