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その後私達は急な坂道を降り、手を振って分かれた。
それはとても覚えている。もっと一緒にいたいという思いと恥ずかしさで胸が体より大きくなったようだったから。
それからどこをどう通って帰ったのか。
家に着いて、ママにも目を合わせずに部屋へあがったのは覚えている。ママには見透かされると何故か思った。娘が初めてキスをしたことを、ママは目を見ただけで気づくだろうと思った。
同じ女として。
そして…5人の関係は崩れた。全てのバランスがたった一度のキスで。
私達のことが知られた訳でも、険悪になった訳でもない。何か微妙な均衡が失われた感じだった。
もしかすると、ライブの後で有美にもなにかあったのかもしれない。でもそれは有美から言われない以上、私からも聞かなかった。私も彼のことは言わなかったし。
そして高校3年という儚い一年は終わった。
私達も終わった。
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