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早く私を忘れて
あなたは
いくつになっても子供みたいに、感情のおもむくままに生きていた。
その割に私には愛の言葉さえ口にせず、抱きしめたりキスをしていれば愛が伝わると思っていたのよね、きっと。
私も感情的なところがあったから、大喧嘩だって少なくはなかった。
喧嘩ばかりしていたと言っても過言ではないかもね。
ふたりともおもむくままに生きてた。
新しい彼は
あなたとはまるっきり違う大人の男で、全てが尊敬できる人。
喧嘩だってしないし、そもそも怒るところがない人なの。
あなたとは大違い。真逆。
それに合わせるように私も大人になった。
二人っきりでいるときもちゃんと身なりを整えて、大声でわがままを言うことも無くなった。
私は大人になった。
あなたは
そんな私とはもう不釣り合いだから、忘れて欲しいの。私のことは。
そしてあなたも早く、新しい恋を見つけてね。
……そう言い放って私は一方的に通話を切った。
とめどなく涙が溢れてきた。
ふたりともおもむくままに生きていられた。これが最後の感情のおもむくままの私なんだ。
新しい彼ができたと言ってもまだ、彼は私を好きだと言った。
こんな私を…。
これでなんとか忘れて欲しい。
こんな私なんかを…。
遠距離恋愛に耐えられなくなった、弱い私を。
画面についた涙を掌でぬぐうと
さらに涙が溢れてきた。
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