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俺は、不自由なくらい身長が低い。
小中学校の背の順ではいつも一番前。
高校、大学になっても身長は一切伸びず、ただただ落胆した。
それは社会人になっても同じで、同僚にチビなどというありきたりなあだ名をつけられている。
この人生、身長が低くていいことなんて一つもありゃしなかった。
仕事が終わり、ストレスが溜まっていた俺は、居酒屋でやけ酒をし、完全に酔っ払ってしまった。
ふらふらしながらも家へと歩いていると、いきなり後ろから声をかけられた。
「私は身長が低いと思いますか?」
酔っ払っていた俺は振り向きもせず、
「この世になぁ、俺ほど身長が低いやつぁいねぇよぉ〜。あんたは俺よりでかいさぁ」
というと
「よかった」と言って去っていった。
なんとか家へとたどり着いた俺はすぐに眠りについた。
翌朝、ひどい二日酔いで目が覚めた。ニュースをぼっーとみていると驚きのニュースが目に入ってきた。
「昨夜未明、連続殺人事件の犯人が捕まりました。犯人は「私のことを身長が低いと言ったやつは殺した。」などと供述しています。」
俺は初めて身長が低いことに感謝した。
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