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―「恋はするもんじゃなくて、落ちるもんだ。」
これ誰の名言?
いや良くは知らないけど。
昔の映画か小説だかなんだかで見た気がする。
けど俺の場合は fall in loveとかそういう感じじゃない。
強いて言えば、落とし穴だ。
なんも考えずに歩いてたら突然落ちた落とし穴、みたいな。
でも別に奈落の底とかそんな悪い落とし穴じゃない。
むしろ、落ちた先にあったのは天使が棲む世界だった。
え、何言ってるかよくわかんないって?
俺にも全然わかんないです。
だって普通想像もつかないよね?
平野 出琉(ひらの いずる)、29歳。
平凡で何の取り柄もなくて顔も年収も人生もそこそこ中の下あたり、特に面白い話が出来るわけでもなく、もちろん女性にモテた試しもない。
自分で言ってて悲しくなってくる…、そんな俺が自分とはまさに正反対の別の星の生き物みたいな、しかも12歳も年下の現役“男子”高校生に、恋愛的な意味込みで懐かれるなんて。
想像なんてできるわけないだろ。
…でも確かに俺はあの日から、ずっとずっと彼という幸せな落とし穴に落ちっぱなしなのだ。
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