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それでも僅かな希望を胸に夫妻はようやく救命ボート前まで辿り着き、
夫妻2人で誘導係の元まで向かう。
そこで彼らは
「なんとか私たち共にボートに乗せてもらいたい」
と駄目元で懇願する。
どれだけ助かりたくても助けられなかった命のがある。
それは百も承知である。
しかし愛する人を遺して逝くのは精神の死なのだ。
ずるいことをしているのは分かっている。
だが助かりたいと、
行きたいと願うのは当たり前ではなかろうか。
それでも、
この状況下でそれは許されない。
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