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翌日。
部室に透哉がやって来た。が、いつもより時間が遅い。
「どうした? 講義が長引いたのか?」
部室に入って来た透哉の表情が険しい。
真矢は眼を細め、もしや。と思考を巡らす。
昨日、メッセージのやり取りを強引に途中で切り上げたことで、透哉とその友人たちとの間にトラブルが発生したのか? と、真矢の胸に不安の雲が広がる。
「いや、そうじゃない」
肩から下ろしたリュックサックをぽんぽんと叩く。
「スマホ鞄に入れてたら、時間がわかんねぇことに気づいたんだ」
大真面目に、透哉はそんなことを言った。瞬間、真矢は椅子から崩れ落ちそうになる。
成程、腕時計の類を身に着けていないから、時計が無い場所では時間が分からず、それで部室に来るのが遅れたのか。と、彼に起きたであろう今日の出来事を想像した。
「……腕時計を買うといい」
「おすすめのがあったら教えてくれ。あんまり高くなくてカッコいいやつ」
透哉が真矢の腕で光る腕時計を見ながら言った。
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