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『ほんでなんや、そのカッコは。法事やっちゅうのに、なんでそんなカッコしてんのや。ちゃんと喪服着んかい!』
それは俺が着ている黒のパーカーの事を責めているのだろうか。それともオヤジの白のジャージの事だろうか。おかんは何故か席を外している。まあ、そこは生前仲が悪かったからなぁ。仕方ないか。
『まあ、ほんでゆうやは、なんで嫁さんもらわんのや!お前、長男の自覚ないんか。お前の代で家系終わってまうやないか!』
耳が痛い。胃が痛い。心が痛い。
俺は目を畳に逸らした。3回忌でもかなり責められたのである程度覚悟はしていたのだが、今回は更にキツい。じいちゃん、マジだ。
この【あの世リモート】め!!
正座する膝の斜め前に転がるリモコンの電源ボタンを今すぐにでも押してしまいたい気持ちを両拳を握りしめグッと堪えた。
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