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出席番号1番と2番
「今宮想太」
「はい!」
1年3組・出席番号1番。高校の入学式。体育館に並んだイスの前に立つ担任の先生に呼ばれて出席番号順に座る。一番前に俺は座り、イスの下に持ってたバッグを置く。この後、教室の自己紹介でも一番、授業が始まれば毎日毎日、1時間目から6時間目まで一番に当て続けられる。出席番号1番の宿命だぜ。
「ウガハル」
「はい」
俺の後ろのイスに座る音がした。「ハル」って名前で男なのか。
「エガワサエ」
「はい」
隣の女子の列にエガワさんが座った。横目にチェックする。おう。最近の女子にありがちに一本、横髪を垂らしてるアレだよ。横に垂れてんのウザくねえのかなあ。後ろのイスの男子にちょっと話しかけてみようかな。よし。振り返ると、女子が座ってた。
「エダノカツキ」
「ういーっす」
「返事は『はい』でな」
「はーい」
「伸ばさない」
クラスの初ウケをとってるヤツがいるけど、俺は後ろのイスに座ってる女子をガン見してた。めっちゃ好みだった。俺、今、平手友梨奈の見た目がすっげー好きで、男の子っぽい女の子。顔が似てるってわけじゃないけど、雰囲気が。切りすぎじゃね?ってくらいバッサリ切ったショートカット。全世界・敵!みたいな強い目。フキゲンそうな唇は赤くて。こんな子が同じクラスなんて大当たりだあああ。――でも、ちょっと待て
「今宮、覚えてっかなあ?俺、エダノ。中二ん時、俺、同じクラスだったんだけど」
ワックスでツンツン髪を立ててる丸顔のメガネくんに覚えはなかったけど、男子列にまちがって座っちゃってる女子の後ろに座ろうとしてるエダノを俺は止める。
「ちょっと待って。この子、座るとこまちがってるから。女子はそっちの列だよ」
ガッと体が揺れた。女子が足を上げて俺のイスの背もたれに蹴りを入れてた。
「俺、男だから」
…はっ。世界が真っ白になった。
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